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伊予市誌

2 農地の権利移動

 農用地利用増進法、農地法の一部改正法、農業委員会法の一部改正法の農地関連三法は、一九八〇(昭和五五)年五月二八日に公布され、同年九月一日から施行された。これら三法は、いわば八〇年代農政のけん引力と言われる構造政策の眼目であるとともに、諸外国にも例を見ない自作農主義を強調したもので、戦後の我が国農地行政に一大転機をもたらしたものと言えよう。
 その後、農地利用増進法は、一九九三(平成五)年に農業経営基盤強化法に改められ、更に、平成七年、平成一五年に改正された。農地法も二〇〇一(平成一三年)に改正(農業生産法人の要件緩和)され、農地の流動化が一層進められることとなった。
 農業の生産性向上のためには、農地の流動化は、生産の組織化とともに土地利用の高度化や機械を効率的に利用する上で、最も基本的な政策手段である。特に今日のような分散した農地を耕作している状況の下では、基盤整備とあわせて土地利用権を集積しなければ土地利用型農業における生産性向上は不可能である。地域農業の推進に当たっては、意欲ある中核農家を中心に農業経営の規模拡大化又は、高能率な生産組織を育成し、地域全体として規模が大きく生産性の高い農業構造の確立を図っていくことが重要である。最近の土地利用型農業の発展の遅れは、土地条件の劣悪性、規模の零細性、兼業化の進展、農業労働力の高齢化などによるものである。
 本市における利用権の設定など農地の流動化対策は第103表のように昭和五四年度から始まり、農業委員を含め地域農業の中核となる人物を選び、農用地流動化推進員として、貸し手農家、借り手農家を選び農地の流動化あっせん活動を経て、中核的農家へ農地の集積を図ってきた。また昭和五六年一二月には農地銀行が農業委員会内に設置され、「安心して貸し借りできる」農地の流動化を更に定着させるよう活動が促進されている。

第103表 農地流動化の状況

第103表 農地流動化の状況