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伊予市誌

3 農業委員会

 「農業委員会法」は、一九五一(昭和二六)年三月三一日公布、即日施行された。この法律に基づく市町村農業委員会は選挙委員と選任委員で構成された。選挙委員は公職選挙法に基づいて選挙された。委員会の行う事務は次のように規定された。
 ①自作農創設特別措置法その他の法令により、その権限に属させた自作農の創設及び維持に関する事項、②農地調整法・小作調停法その他の法令により、その権限に属させた農地・採草地・放牧地または薪炭林の利用関係の調整に関する事項、③土地改良法その他の法令によりその権限に属させた農地の交換分合及びこれに付随する事項、以上がいわゆる必須業務で、更に次の事項を「処理することができる」とされた。
 ①農地等の利用関係についてのあっせん及び争議の防止に関する事項、②農地等の交換分合のあっせん、その他農地事情の改善に関する事項、また、次の事項にかかわる総合計画の樹立及びその実施について、市町村長に建議し、または市町村長の諮問に応じて答申することができるとされた。
 ①農地の開発、改良、保全その他土地の生産条件の整備及び土地利用の高度化に関する事項、②農業技術の改良その他農業生産に関する事項、③農畜産物の加工・販売その他処理に関する事項、④その他、農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事項
 農業委員会は、委員をもって組織される行政委員会で、委員の合議体である。委員は非常勤の特別職たる地方公務員で、農業委員が任命する書記が置かれることになった。
 政府は、自作農創設特別措置法・農地調整法及びポツダム制令に基づく、土地の譲渡政令の三者を統合して、農地改革の原則と成果の恒久化を旨とした農地法案を、一九五二(昭和二七)年三月一八日第一三回通常国会に提出し、同年七月七日成立した。こうして「農地法」は同年七月一五日に公布され、同年一〇月二一日から施行された。
 農業委員会法は、一九五四(昭和二九)年七月二〇日から法律の名称が「農業委員会等に関する法律」と改められ現在に至っている。一九五七(昭和三二)年に改正された農業委員会法によって、農業委員会の組織について旧法では選挙による委員は、農業委員会の全区域を単位として、公職選挙法を準用した選挙によって一〇人から一五人を選出することになっていたが、町村合併による地域の拡大に伴い選挙委員の定数を一〇人から四〇人までに拡大し、必要がある場合は選挙区を設けることができることにした。また、旧法では選挙によらない委員について、市町村長が五人以内に限り農業団体から推薦された理事及び市町村議会から推薦された学識経験者の中から委員として選任していたが、改正法ではいわゆる総合農協や共済組合の代表者を必ず委員として加えるため、これら農業団体の推薦した理事は組合ごとに必ず一人ずつ市町村長が委員に選任するとともに、従来どおり市町村議会推薦の学識経験者も五人以内において市町村長が選任することにした。
 二〇〇四(平成一六)年の市町村の平成の大合併に伴い農業委員会法も改正(同年五月一九日可決)された。改正の概要は、①農業委員会の必置基準面積算定の見直し。市街化区域内における法令業務の執行の状況を踏まえ、農業委員会の必置基準面積の算定から生産緑地以外の市街化区域内農地面積を除外する(具体的な数値は政今に委任)。②選挙委員定数の下限の条例への委任。法定化されている選挙委員の下限定数(一〇人)を廃止し条例に委任する。③農業委員会が法令業務以外で行う業務について、農地に関する業務及び農業経営の合理化に関する業務に重点化を図る。④選任委員の選出方法の見直し。団体推薦委員について、推薦主体に土地改良区を追加する。議会推薦委員の定数の上限を五人から四人に引き下げる。⑤選挙委員の解任方法の見直し。現行制度では、選挙委員全員の一括解任請求しかできない仕組みとなっているが、個々の選挙委員を特定して解任を請求することができることとする。⑥部会制度の見直し。選挙委員定数二一人以上の農業委員会においては現在必置となっている農地部会の設置を任意とするとともに、その区域内を分けて複数の農地部会を設置することができることとする。また、選挙委員定数にかかわらず農地部会以外の部会を設置することができることとする。以上、六項目にわたり改正された。