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伊予市誌

5 水田営農活性化対策の推進方針

一、合理的な土地活用及び作付け体系の推進
 本市の水田においては、温暖な気候条件並びに都市近郊の有利な地理的条件を生かして、稲作・大豆・飼料作物・花きなど多種多様な作物が植え付けられている。
 しかし、担い手の高齢化や農作物の価格の低迷などから作付けは漸減の傾向にある。また、水田作の基幹作物である水稲と転作作物とを有機的に結び付けた地域ぐるみの田畑転換などの合理的な土地利用方式は、一部の地域のみで実施されている状況にある。
 このような中で、安定した水田農業を確立し特色ある集落営農を営んでいくためには、地域ぐるみの話し合いを積み重ね地域の総意を結集し、創意と工夫により計画的な稲作と転作を実施していく必要がある。
 このため、農業者の自主的な取り組みのもとに、農業団体が中心になって各集落(地域)ごとに土地利用計画を樹立し、集落の土地・水利用調整機能を活用しながら、水田の高度利用のためのほ場整備や、排水改良、総合的な土づくり、水田の汎用化など土地基盤整備推進、農地の流動化、農作業の受委託による中核農家の規模拡大や中核農家を核とする地域農業生産組織化を図り、生産性の高い水田営農の確立に努めるものとする。また、今後とも水田の持つ高い生産性を発揮して、他用途利用米を含む水稲及び転作作物の生産性向上を図るため、水稲・麦・大豆・飼料作物・野菜を中心とした輪作など合理的な作付け体系の導入に努める。

二、生産規模の拡大
 本市における水田の流動化は、近年、利用権設定等促進事業の活用により着実に進みつつあるが、農地の購入などにより規模拡大を図るものよりも、負担の少ない農地の賃借や作業の受委託により生産規模を拡大していこうとする傾向にある。
 これらの状況を踏まえ、中核農家を中心とする生産組織を育成し、各地域で合理的な土地利用方式を確立していく過程において、利用権設定等促進事業の積極的な活用により、農地の流動化、農作業の受委託を更に進め、中核となる農家の規模拡大を図るとともに、一定規模以上の作付け地の集団化により、適正な機械作業単位を確保するものとする。

三、生産技術の向上
 主要作物の生産向上に当たっては、単位収量の増加、投下労働時間の削減、農業生産資材の効率的利用などにより生産性を一層向上させるとともに、品質の向上を図り、消費者ニーズや実需者からの要望などに的確に対応していくことが重要になっている。
 このため、各作目や地域の立地条件に応じて、土地条件の整備、生産技術の高位平準化、転作作物の機械化一環作業体系の確立、中核農家への土地利用の集積などを促進し、「水田営農活性化対策技術指導指針」に即した基本技術の励行などにより生産コストの低減と品質の向上を図る。この場合、地域の実態に即した技術や営農活動の指導体制を強化するとともに、先進的なモデル地区の育成・技術資料の配布などを通じて、指導の徹底を図るものとする。

四、流通などの改善
 生産性の高い水田営農を確立するためには、流通体制の合理化・近代化を推進していくことが重要である。このため、共同出荷体制を一層強化する一方、流通コストの低減を図るため、広域農道など道路整備網の整備をはじめ、米麦などの共同乾燥貯蔵施設整備やバラ流通施設などの整備、野菜や果樹などの集出荷施設などの整備による物流の合理化、情報通信システムの開発普及とその活用により、需給調整機能を充実強化するとともに計画的な生産・出荷並びに出荷規格の統一化に努める。