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伊予市誌

三、森林組合

 町村森林組合
 一九四一(昭和一六)年、「森林法」の改正によって、南山崎村・北山崎村・郡中町・南伊予村に森林組合を設置し、以後森林関係施策の中心的役割を果たすことになった。組合には経費の二分の一の補助のある林業技術員が配置されて、林業経営の合理化を推進した。また、同年公布された「木材統制法」の施行によって、軍用材を中心とする林産物の統制業務を行った。その後、昭和二六年の「森林法」によって、戦時中山林統制が主体であった組合は、森林施業の合理化と森林生産力の増進を図り、合わせて森林所有者の経済的・社会的地位の向上を期する」ことが意義付けされ、専ら組合員の森林計画樹立と実行、その経営につき指導と助言を与えることになった。

 伊予市森林組合
 昭和三三年七月、森林組合振興対策の基本方針に従い、経営基盤の弱小である南山崎・北山崎・郡中・南伊予の四森林組合を合併して組合員の林業経営を改善し、その経済性を高め協同組合としての経営自立体制を確立し、地域経済の発展と山林振興諸対策の緊密な関連のもとに事業を推進し組合の振興を図る目的で、伊予市森林組合が発足した。初代組合長は福岡芳であった。同年、第一次振興三か年計画を樹立した。まず、木材需要の増大に対応するため造林を積極的に推し進め、組合員需要の造林用山行苗については、県森連よりの受託販売を中心にあっせんを行った。一方、優良材生産に必要な造林用苗の市内生産にも努め、地区内需要苗の自給自足を目指した。また、森林資源の開発並びに林産物搬出に欠かせない林道の拡充整備、組合員の技術向上を図ることとした。これは、県指導員の協力を得て、造林・間伐・その他経営についての技術講習会を行った。
 昭和三六年には第二次森林組合振興三か年計画を樹立し、森林の育成・確保に努めた。同三七年には武田政勝が組合長となり、販売部門においてこれまで立木のまま売買されていた木材に対して県森連水材市場への共販出荷を開始し、組合員の利益増大に寄与した。同三九年には伊予林業研究会を結成し、林業試験場及び森林肥料工場の見学を行い新技術の習得に努めた。昭和四二年には大干ばつと豪雪による被害で大きな痛手を受けた。一方、木材価格が上昇の一途をたどり、広面積の山林が伐採された。同四三年一月には、急速に進展してきた椎茸栽培の栽培技術研究、共同出荷などを行うため、伊予市椎茸生産販売協議会を設立した。同四四年には、外材の輸入増、新建材の進出、労賃金の高騰などにより、木材価格は低落し危機に直面した。このため、危機を打開し森林所得の増大を図るため、優良材の生産、椎茸栽培などの講習会・研究会を開催し、指導奨励を行った。
 昭和五二年、兼岡久一が組合長となった。このころから松くい虫被害が広がり始め、松くい虫防除対策として枯損木の伐倒駆除事業を開始し、翌年には薬剤地上散布、昭和五四年には薬剤空中散布も開始した。同五三年松野静一が組合長となった。同五八年一二月、伊予市森林組合林業研究会を結成した。また、長引く木材不況を打開するため、森林所有者が中心となって山を守る一町歩一〇〇円運動を実施した。同五九年には高知営林局と部分林契約を結び、大谷生産保護森林組合より事業を継承して大谷国有林三二ヘクタールの分収造林を開始した。
 こうして、組合員数一、〇〇三人(昭和五九年時)が一丸となり、厳しい林業情勢に対処するため、林業家の複合経営の推進、優良材生産林造成のための新技術の導入、枝打ちロボットの導入などによる作業の合理化に努めている。また、補助事業として、造林事業、松くい虫関連事業(薬剤空中散布、薬剤地上散布、枯損木伐倒駆除、感染源除去対策)、除間伐事業などを継続実施している。昭和五九年現在の伊予市森林組合林産物取扱量は、一般用材・五五立方メートル、間伐材・五二立方メートル、パルプ材・四〇立方メートルとなっている。

 伊予森林組合
 近年の森林・林業を取り巻く環境は、材価の低迷、林業従事者の高齢化、経営意欲の減退した森林の増加など、深刻な状況にあり、森林組合に課せられた役割は極めて重要となっている。しかし、個々の森林組合の組織・経済力では、これにこたえ組合員の要請に即応することが困難となってきている。このため、伊予市・中山町・双海町の三森林組合では、「健全で活力ある森林整備を行い、林業の担い手を養成・確保し、地域の森林所有者のための組合を目指す」ことを目的に合併を進めることとなった。
 平成一四年四月、伊予・砥部・中山・双海の四森林組合で、「伊予市郡森林組合合併検討会」が設置され合併に向けての協議が行われてきたが、市町村合併の枠組みの変更などによって合併に合意した伊予市・中山町・双海町の三森林組合によって平成一五年九月に「伊予・中山・双海地区森林組合合併推進協議会」が設立され、平成一六年四月一日付けでの合併(仮称・伊予広域森林組合)を決定した。
 二〇〇四(平成一六)年に合併により誕生した「伊予森林組合」の概要は第125表のとおりである。

第125表 伊予森林組合の概要

第125表 伊予森林組合の概要