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伊予市誌

五、漁業形態及び漁業の現況 ①

 従来、郡中漁業協同組合と北山崎漁業協同組合の二組合であったものが、一九六二(昭和三七)年四月一日、現在の伊予漁業協同組合として統合された。
 最近の社会的、経済的変化の激しい中にあって、漁村内部の変ぼうも著しいものがある。漁業世帯数や世帯員数、漁業就業者数を見ても、一九六三(昭和三八)年から一九九八(平成一〇)年の三大年間に、世帯数において一八〇世帯、世帯員数において八九九人、漁業就業者数において三〇九人の大幅な減少を見ている。これらはいずれも漁業から、経済的に有利な他産業への転出のためである。その結果、漁業就業者の高齢化と後継者不足が進行してきた。しかしながら、一九八八(昭和六三)年ころより二九歳以下の若年労働力がUターンして漁業に就業している。漁業世帯及び漁業就業員数の推移を示すと、第134表のとおりである。
 伊予漁業協同組合に所属する組合員は、正組合員が二〇〇二(平成一四)年度は五五人(うち法人一)であり、准組合員三四人である。
 当地区内の漁場の自然的条件は、沿岸地先は遠浅の砂浜海岸であり、西方に進むに従って伊予灘断層海岸の岩礁海岸となっている。水深は松山沖で二〇メートルから、伊予灘中央部で五〇メートルで、佐田岬半島の速吸瀬戸では最深部で三〇〇メートルに達する。底質は松山沖は貝殻混じりの砂質であり、伊予灘は砂質である。潮流は一部関門海峡からの流入も見られるが、大部分は豊後水道から伊予灘に流入している。水温は冬期は摂氏一一℃から一二℃で、夏期は二四℃で、冬の水温は宇和海より低く、燧灘海域よりも高い。
 伊予漁業協同組合の漁業権は、共同漁業権四区域を設定している。これを図に示すと第154図のとおりである。
 共同漁業権区域内では、ひじき・わかめなどの海草類、さざえ・あさりなどの貝類、なまこ・たこなどの水産動物を対象とする第一種共同漁業が設定されている。更に、第二種共同漁業として雑魚小型定置網漁業、雑魚建網漁業が設定されている。第三種共同漁業は伊共第八十九号でつきいそ漁業であり、伊共第九十号は双海町に接した黒磯と磯鼻の海面にぼら飼付漁業が設定されている。
 かつては、区画漁業が、大谷川右岸沖合いにのり養殖漁場を、黒磯と磯鼻の沖合いに真珠養殖漁場を設定していたが、のり養殖漁業は一九七一(昭和四六)年にのりベタ流しを、真珠貝養殖は一九六五(昭和四〇)年ころ、宇和海の真珠養殖業者に漁場を賃貸していたが、現在では稼動されなくなり、区画漁業権は設定されていない。
 生産手段である漁船は、第135表のように昭和三八年の八九隻から、平成一〇年は五三隻となり、平成一四年には六二隻と減少している。そのうち、三トンから五トンの漁船が中心として全体の七六%を占めている。これらの漁船は伊予地区の主幹漁業である小型底びき網漁業、機船船びき網漁業に使用されている。

第134表 漁業世帯・世帯員数および漁業就業者数

第134表 漁業世帯・世帯員数および漁業就業者数


第154図 伊予漁業協同組合設定の共同漁業権図

第154図 伊予漁業協同組合設定の共同漁業権図


第135表 無動力・動力別漁船数

第135表 無動力・動力別漁船数


第136表 漁業種類別経営体数

第136表 漁業種類別経営体数


第137表 漁業種類別販売取扱総額の推移

第137表 漁業種類別販売取扱総額の推移