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中山町誌

三、 中山町の巨木・名木

 ① ボダイジュ
 県指定天然記念物
 所在 中山町門前「積翠山盛景寺」境内
 盛景寺の裏側山裾、標高二〇〇メートルの地点に、胸高幹周およそ一九〇センチメートル、樹高推定二五メートルの県指定天然記念物であるボダイジュがある。
 このボダイジュは、寺伝によると天平一三年(七四一)に行基大僧正が、南海道(四国)巡錫中、この地に足を留められ大衆を教化されたおり手植えられたとも、また、法燈国師が建長六年(一二五四)宋国より帰国のとき持ち帰り、荒れ果てた行基菩薩の址跡を再興、当時の繁栄を祈り、手植えしたとも伝えられている。法燈国師当山入寺の年代から数え樹齢七〇〇余年とされている。
 ボダイジュはシナノキ科の落葉高木。幹は紫灰色で、樹皮に浅い裂け目があり、小枝は細毛が密生している。葉は互生し、ゆがんだ三角形(ハート形)で、長さは六~一〇センチメートル。葉の表面は滑らか、裏面は灰色の細毛が密生し、縁に鋭い鋸歯がある。六月~七月にかけて葉接から下向きに長い柄のある集散花序を出し、淡黄色、五弁の香り高い小花を開く。果実は直径八ミリメートルぐらいの球状の堅い核果で、細毛が密生している。木枯らしの吹く頃に、包葉についた核果が、竹トンボのように舞い散る。

 ② スギ
  所在 中山町栗田「烏帽子杜三島神社」境内
 スギ科の針葉常緑の高木で、幹は真直ぐに伸びる。
 中山町の山地の多くが、スギの植林で覆われているが、この境内のスギは、胸高幹周約五〇〇センチメートル(境内改修のとき埋め立てているため、実際はもっと太い)、樹高は四〇メートルを超える巨木で、伝承四〇〇年以上前のものと推定されており、町内で最も大きな木である。

③ イチョウ
  所在 中山町豊岡 他各地
 イチョウ科の落葉高木、樹皮は灰色で厚く、縦に割れ目ができる。枝には長枝と短枝があり、葉は長枝にはまばらに互生し、短枝には数枚が束生し、秋に美しく黄葉する。雌雄異株で種子は銀杏として食用にする。
 豊岡の永田三島神社境内には、胸高幹周約四九〇センチメートル・樹高約三〇メートルの巨木があり、小池の七体天神宮境内の胸高幹周約四八〇センチメートル・樹高約三〇メートルがこれに次いでいる。
 佐礼谷の燈森三島神社境内には、幹枝から乳といわれる気根が垂れ下がっている胸高幹周約四三〇センチメートルのイチョウがある。盛景寺境内のイチョウは、秋にはたくさんの実を付ける。ぞの他、梅坂天神社境内など各所に見られる。

 ④ ウラジロガシ
  所在 中山町豊岡「川崎神社境内」
 ウラジロガシを含め、単にカシ(カシノキ)とよぶ場合が多い。ウラジロガシは、ブナ科の常緑高木。樹皮は灰黒色で、幹は滑らか。葉の裏側にろう質を分泌して白い。胸高直径一五〇センチメートルと八〇センチメートルの巨木がある。

 ⑤ コガノキ
  所在 中山町小池 「七体天神宮」境内
 クスノキ科の常緑高木。樹皮は灰黒色で、楕円形に薄くはげ、はげ落ちた跡が黄白色のはんもんの模様となる。これが鹿の子模様に見えることから、この名がある。葉は互生して枝先に集まり、薄い革質で、長さは六~一〇センチメートルである。境内のコガノキは、胸高幹周四〇六センチメートルと三三一センチメートルの二本があるが、大きい木は片側半身が枯れかけている。また、福住には胸高幹周一六〇センチメートルとやや小さいが、樹形のおもしろいコガノキがある。

 ⑥ モミ
  所在 中山町梅原「梅原寺」境内 他
 マツ科の常緑高木。樹皮は暗灰色で鱗片状に剥げる。梅原寺境内のモミは、胸高幹周三六三センチメートルの巨木である。また、盛景寺境内には、これに劣らないモミの木が三本、下草のクマザサの中からそびえ美観をつくっている。

 ⑦ ケヤキ
  所在 中山町豊岡「川崎神社」境内 他
 ニレ科の落葉高木で、樹皮は灰褐色、葉の周辺に鋭い鋸歯がある。町内には、各地にケヤキを見ることができるが、当神社境内のケヤキは、町内随一と思われる胸高幹周三三七センチメートルの木と、これに次ぐ三一〇センチメートルの木がある。他に、栗田や日南登、船が迫岳にも幹周二五〇センチメートル以上の木がある。

 ⑨ イスノキ
  所在 中山町永木「藤縄の森三島神社」境内 他
 マンサク科の常緑高木。樹皮は灰褐色で、葉は厚くて堅く、楕円形をしている。葉によく虫こぶができ、これを吹くと鳴る音から「ヒョンノキ」ともいう。
 三島神社境内には、胸高幹周二〇三センチメートルのものを筆頭にして、数十本が群生している。また、漆には、大きなフジの蔓が絡まった胸高幹周二四〇センチメートルのイスノキが見られる。

 ⑩ イヌマキ
  所在 中山町泉町「浄光寺」境内 他
 マキ科の常緑針葉高木。樹皮は灰白色で、縦に浅く裂けて薄くはげる。葉は互生で密につく。雌雄異株。浄光寺境内のイヌマキは、胸高幹周三五〇センチメートル、樹高三五メートルにも達する巨木であるが、一部損傷している。梅原の梅原寺境内にも胸高幹周二五四センチメートルのイヌマキがある。

 ⑪ ミズナラ
  所在 中山町福住
 ブナ科の落葉高木。ミズナラ、コナラ、ナラガシワとともに、単にナラということがある。樹皮は灰褐色で、裂け目がある。福住(幸の森)のナラは、胸高幹周三五○センチメートルである。

 ⑫ ツバキ
  所在 中山町福住
 ツバキ科の常緑高本。樹皮は灰色で、滑らかである。福住のツバキは、胸高幹周一八二センチメートルで、樹形もよい。

 ⑬ エノキ
  所在 中山町
 ニレ科の落葉高木。樹皮は灰色。平沢のエノキは、胸高幹周四二六センチメートルで、樹形もよい。

 ⑭ ヤナギ
  所在 中山町大矢
 ヤナギ科の落葉性の高木で、雌雄異株。大矢の明神池には、巨木ではないが、胸高幹周一九〇センチメートルのヤナギをはじめ、それに近い木が十数本群生している。

 ⑮ カイドウ
  所在 中山町漆
 バラ科の落葉高本で、ハナカイドウともいわれる。漆のカイドウは、根周り一八〇センチメートルもあり、幹は三つ又状に分かれ、胸高幹周六〇センチメートルもある。

 ⑯ カキ
  所在 中山町山口 他
 カキノキ科の落葉高本。幹は直立し、よく分枝し、樹皮は鱗状に裂け目ができる。山口部落のカキは、胸高幹周二二八センチメートル、樹高約一二メートルと町内で最も大きなカキである。平沢にも胸高幹周二二五センチメートルのカキがある。これより小さいが、佐礼谷の赤海にもカキがある。

 ⑰ ヤマモモ
  所在 中山町坪之内
 ヤマモモ科の高木で、雌雄異株。坪之内部落のヤマモモは、胸高幹周二一○センチメートルと一八五センチメートルの二本がある。

 ⑱ サルスベリ
  所在 中山町榎峠
 ミソハギ科の落葉高木。樹皮は赤褐色で、滑らかである。成長が遅いが、榎峠のサルスベリは、胸高幹周七六センチメートルもある。

 ⑲ サカキ
  所在 中山町安別当
 ツバキ科の常緑高木。神社の境内によく植えられている。安別当のサカキは、胸高幹周一〇八センチメートルと、この近辺では大きい。

 ⑳ クスノキ
  所在 中山町村中「燈森三島神社境内」
 クスノキ科の常緑高木。樹皮は灰褐色で、細い裂け目がある。境内には、胸高幹周三九〇センチメートルの巨木があり、このほか、町内には各地でクスノキが見られる。

 (21) ヒノキ
  所在 中山町永木「藤縄の森三島神社境内」
 ヒノキ科の常緑高木。幹は直立し、樹皮は褐色である。ここのヒノキは、幹が根元で分岐して、八本に分かれており、樹形がおもしろい。