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中山町誌

二、 縄文早期に瀬戸内海出現

 縄文早期時代の遺跡は、草創期と比べると急増し、上黒岩岩陰遺跡第四層、穴神洞遺跡第三・四層、中津川洞遺跡第四層をはじめ、新居浜市横山、宇摩郡土居町藤原遺跡や縄文早期末の西条市中野の市倉遺跡など県下全域二〇数ヶ所で発見されている。この時代を代表する土器文様は押型文様で、なかでも小形押型文様土器が先行し、続いて大形の押型文様土器が出現する。この傾向は日本列島全域で起こり、地質学的には縄文海進(海面が上昇すること)開始の時期に当たる。既に海面が現在の海面下一五メートル付近にまで上昇し、温暖化傾向が進行して、現在の瀬戸内海が出現した時代なのである。
 この押型文様土器の施文方法には、スタンプ型と回転型の二形式がある。また施文される文様には、地域によりいろいろと特色がある。主に楕円形・円形・山形・格子形・波状形・波形などがあり、これらの文様はいずれも大形と小形とがあり、また凸形と凹形が知られている。
 また石器では、鍬形石鏃と呼称される石鏃の基部を大きく挟入するものが代表的で、狩猟効果を高めるために使用したと推察される犬の埋葬が、上黒岩岩陰遺跡A第四層で検出されている。