四、　土地基盤整備事業

　土地基盤整備事業は、農地の区画の改善・集団化、道路、用排水路、暗渠の整備等を総合的に実施することにより、機械化による能率の良い農業を目指すものである。
　また、換地を行うことにより、農家相互の農地の交換分合が図られ、点在する零細農地を農家ごとに大きくまとめることもでき、比較的収益の少ない水田を施設園芸に転換することにより、単位面積あたり十数倍の収益を上げることも可能になる。
　本町では、このような観点から、将来の農業の振興・発展を目指して、昭和六一年（一九八六）度より圃場整備事業等に着手し、以後町内全域にわたり逐次本事業を推進して来た。
　以下、各事業毎の実施状況を示すこととする。

　農村地域農業構造改善事業
　この事業では、梅之木・源氏地区の山腹に散在する農用地に連絡道をつけ、農産物や資材の運搬等作業能率の向上を図った。
　また、安別当地区の水田の区画を整理し、犬寄地区では二ヘクタールの畑地を造成して果樹、野菜等生産の基盤作りに寄与している。

　地区再編農業構造改善事業
　永木・福住・梅原地区の圃場整備を行うことによって、作業能率を高め後継者への作業意欲の向上を図っている。

　農村総合整備モデル事業
　農村総合整備モデル事業は、農業の近代化を図ると共に、農村の生活環境を整備し、農村在住者の福祉の向上を図るため、モデル的拠点的に条件整備を図るものである。
　農村総合整備モデル事業として実施できる事業は、大きく分けて農業生産基盤、農村環境基盤、農村環境施設等の整備事業、地方農政局長が特に必要と認めた特認事業となっているが、本町では圃場整備、農業集落道及び農道の改良事業を行っている。

　土地改良総合整備事業
　本町が団体営として実施する土地改良総合整備事業（一般）は、採択基準が基幹事業及び併せ行う事業を総合的に実施することになっており、基幹事業では農道整備を、併せ行う事業では区画整理を採択している。また区分は特殊地域における土地総型で、事業費の負担区分は国庫五〇％、県費二〇％、残り三〇％が中山町及び農家の負担となっている。
　本町における本事業の実施状況は、表６―16のとおりである。

　高能率生産体制条件整備事業
　高能率生産体制条件整備事業及び稲作小規模土地基盤整備事業では、不整形な圃場を整理することにより農作業の能率向上を図るものである。

　上長澤の畊整事業
　「畊整」とは、耕地整理のことであるが、上長沢の奥田源一郎が地元住民に呼びかけ、大正八年から同地区の田畑の耕地整理事業に取り組み、昭和二年にその完成を果たしている。
　この事業内容は、不整形の田畑を短冊形に区画整理し、小道を付け替え、水路を新設するなどして将来作業能率を上げ、農作物の増産を図ろうとするもので、その主旨は今日の土地基盤整備事業と軌を一にするものである。
　しかし、当時は現在のような優れた機械器具はなく、畚や鶴嘴を使い牛馬や人力を頼りに事業を推めざるを得なかったため、その苦労の程が偲ばれる。
　本事業の完成を機に建立された記念碑（写真）が今なお、上長沢集会所の西側に残されているので以下その内容を記しておく。

　　（正面）　畊整記念
　　（左面）　中山町上長澤畊整組合長　奥田源一郎
　　　　　　　　　　　　　　　　　　副組合長　尾形　與藏
　　（右面）　後援者町長　玉井　浩三　泉　　亀治
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西山與三郎
　　　　　　　　　農會長　高橋芳我雄　入本福太郎

（裏面）　組合長　奥田源一郎氏ハ資性温厚公共ノ心深ク夙ニ地方ノ開発ニ思ヲ致シ其ノ敬虔ナル信仰心ハ郷黨ヲ美化シ崇高ナル慈悲心ハ恵レザル人々ノ救済トナリ其ノ功績タルヤ極メテ多シ　
　　　　　殊ニ大正八年十二月起エノ當畊地整理ニ於テハ幾多ノ難関ヲ排シテ逐ニ組合ヲ作リ卆先其ノ局ニ當リテ方ニ美田約六町歩ヲ得タルナリ實ニ氏ノ精神的物質的努カノ賜卜言フベク特ニ記シテ之ヲ永遠ニ記念ス　　　　昭和二年四月建之