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中山町誌

一〇、 町有林

 中山町の町有林は藩制時代からの部落有林と、明治以降町の基本財産造成のため購入、教育施設整備の原資とするため学校林として育林されたものによって形成されている。
 村中町有林・梅原町有林などは学校林として造成されてきた。特に村中町有林は、町村合併後の昭和三二年に佐礼谷森林組合へ施業管理業務を委託して大切に育林を行ってきた。福元町有林・梅原町有林・高岡町有林などは、昭和二九年役場庁舎新築資金に充てるために伐採し基本財産として活用されている。
 町有林中最も規模の大きい寺野町有林の取得と造成の経過について山中善男は次のように語っている。「寺野の奥山約五〇ヘクタールの山は、全伐して搬出を待つばかりとなっていたが昭和一五年五月一二日発生の山火事で全焼してしまった。山林所有者をはじめ共有者は広い山林を焼失して収入は皆無となり手のつけようがなく、この山を売りに出した。その際、佐礼谷村が約二五ヘクタールの山林を、篤志家の寄付金一〇万円を含む四八万円で購入した。
 同年は村民総出で『そば』を播いたが、激しい焼土と化した山だけにうまくいかなかった。昭和一六年また村民総出で杉・桧苗一二万本を寺野山の七嶺七谷に植林した。寺野町有林は佐礼谷村民の汗の結晶である。」
 山村における過疎化が進行し、森林保全の危機がいわれる中で、国は公有林取得資金に対する財政援助策を講じるなどしており、地域森林保全対策の上から町有林の規模拡大が期待されている。
 なお現有町有林は次のとおりである(位置については図2-2を参照)。

町有林一覧表

町有林一覧表