データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

中山町誌

四、 二月

 遊芸人の出入り
 二月から三月にかけて遊芸人がよく回ってきた。芝居・浪曲・万才などドサ回りが度々やってきた。民家にジョウ小屋(演劇をする舞台小屋)をつくり観覧したものである。

 節分に関すること
 立春前日を一般に節分といっている。節分は季節の変わる折り目のことで年四回あるが、現在は春の節分だけ残っている。

① 豆煎り
  豆撒きの豆を煎るのに、ヒイラギやトベラを使った。そのとき、大きな音がすれば豊作歳といわれ、「豆よし、豆よし、大豆よし」とか、「麦よし、麦よし」とか唱えながら煎ったところもある。

② 神まつり
  節分の道具を神棚の前に供えて祀ったところもある。多くは三宝と枡を並べて祀った。三宝にはタラの木・ヒイラギの葉と鰯の頭をさしたものをのせ、枡には大豆を入れてあった。
 そして、五穀豊穣・家内安全を祈った。

③ 豆撒き
  煎った豆は「鬼は外、福は内」といいながら家の内外に撒く。この時トベラの葉は家の中に、アララギの葉は家の外に撒く地域もある。だれが撒いてもよい。

④ えくさし
  鬼除けのために、タラの木にトベラとアララギの葉をはさんだものと、鰯の頭に女の髪の毛を結びつけて焼いた物を、家の重要な入り口に立てる。囲炉裏のある家では自在鈎につける。
 これは、鬼が自在鈎を伝って入ってくるのを防ぐためである。地域によっては、さまざまな風習があろう。

⑤ 厄落し
  節分の豆は一般的に呪力を持っていると信じられていたためか、これで厄払いや災難除けをした。節分の日に厄年の人や病気の八が、自分の年の数の大豆と一銭玉と髪の毛とを紙に包んで、夜四辻に捨てるのである。このとき、後をふり返ってはいけないといわれている。

 初午
 二月の最初の午の日を初午と言ってお稲荷さまにお参りをする。現在はあまり行われていない。

 春神楽
 各神社では、それぞれ決った日に春神楽を奉納する。五穀豊穣・家内安全・悪病災難除けなどを祈願すると共に、神様を喜ばす神楽の奉納でもある。
 参詣する人も多く、ある時期には屋台店がでる神社もあった。

図4-1 えくさし

図4-1 えくさし