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中山町誌

七、 五月

 端午の節供
 五日 この日は男児の節供で、男児のいる家では数日前より鯉幟を立てる。また初節供を迎えるところは親戚・知人より鯉幟を贈られる。栃谷地区では、近年になって栃谷道路・栗田川の上を山から山へ綱を張り渡し、多くの鯉幟を吊すようになった。部落をあげて子供の成長を祝うのである。また、町内から不要になった鯉幟の寄贈を募ることもある。
 一般に菖蒲・蓬・萱を組合わせて軒にさしたり、屋根に葺く風習がある。また菖蒲湯を沸かして入る。菖蒲酒を飲むと、女の人はお産が軽く毒消しになるし、菖蒲を体に巻くと巻いたところの痛みがとれるともいわれている。
 五月五日は端午の節供で男児はよく凧あげをしたものだが、現在では凧をあげる姿もなく語り草となっている。(正月は雪などで凧があげられないから、五月にしたのだろうかと古老は語った。)
 さらに、五月のゴールデン・ウィークが定着して、「端午の節供」というよりは、「子供の日」として男女児共に祝ってもらい、家族あげての休日となっている。

 虎御前の涙雨
 五月二八日に降る雨で、「虎御前の涙雨」といったそうである。(虎御前とは源頼朝の時代、冨士の巻狩りで仇討ちをした曽我十郎祐成の愛人)老婦人は、「父が、虎御前の涙雨だから雨が降るぞとよくいっていた。とにかくよく雨が降った」と話してくれた。昭和の初期位までの話らしい。このいわれは本町では不明だった。