データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

中山町誌

第六章 民間信仰

 本町は、中山間の農村で自然に恵まれ、天変地異の少ない平穏な土地柄である。昔は交通の便が悪かった関係か、大々的な信仰はなかった。
 しかし温良純朴な気風の住民は、伝統的に敬神崇祖の念が篤かった。古来より神仏を中心とした信仰には、大変篤いものがあったことが各所に散在する小社、祠、墓標などから窺える。
 自然現象についての驚きや権力に対する忍従とあきらめを、まじないの信仰や敬虔な祈りなどによって心の救いを求めながら、安定した生活を望んできたものと思われる。
 江戸時代以後は世相も安定し、民衆も氏子関係、壇家関係などを中心に、神仏と深いつながりが確立され「講」と呼ばれる信仰集団が結成されてきた。
 この講を中心としての信仰が民衆の中に深く浸透し、彼等の人生観の指標となってきた。しかし、近年は信仰の在り方、祭祀の様子も変わり、簡略されたり、廃止されたりして、その存在さえ忘れさられ、調査も困難になっているので、一層の調査研究が待たれる所である。