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双海町誌

第七節 領民の生活

 大洲藩政が充実していた一六八三(天和三)年四月、奉行代官連名で、村役たちに次のような申し渡しが出されている。

申渡条々
一、耕作並に諸役等踈畧に仕百姓共之有ば、庄屋組頭五人組として御代官迄急渡可訴の事。
附、庄屋組頭私慾を構へ百姓に非分を申懸くる者は百姓より申出づべき事。

一、田畑譲り渡しの節、庄屋組頭相談の上互いに譲り券の証文取り替へ、以来出入り無き様仕るべき事。

一、免割の節は小百姓共迄呼寄せ、銘々持高相違なき様、御物成並入用等委敷検議割に入るべき分又は入間敷義、吟味の上割帳相究め惣百姓共に判形せしめ後日の出入りなき様に仕るべき事。

一、前々より申触候通り諸役人並に給人は勿論の事、小役係りに至る迄軽重に限らず音物堅く停止の事。

一、百姓共借米借銀庄屋組頭肝煎にて借遣し候者、銘々持高吟味の上分限に過たる借銀に候はば田地を売らせ御年貢方、納所致さるべく候、不吟味に仕分にして過ぎず、借物返弁成り難き惣村中へかずかせ申すに於いては庄屋の落度たるべき事。

一、無縁の者、何の営もなく徒に日を送り候はば庄屋組頭吟味を遂げ、御代官迄申立て其村に置申間敷事。

一、往来の旅人一宿の外其村に逗留仕り候はば其旨を聞き届け、余議無き子細の者に付ては二宿、三宿迄は借し可申候、右の外 逗留仕に於ては御代官迄相届、差図を請くる迄留置可申事。

一、他所より其村へ来り住居の者有之候事、前の住所の先々へ相断り障なき者に於ては最も宗門相改め、最前の檀下寺より宗旨紛れ無き者証文を取り居住致さすべき事。

一、庄屋以下百姓の家普請只在来の外新規の作事分限に過ぎたる義致間敷く候、仮令座敷向たりとも書院床を付け、杉丸太杉板等用ひ申義堅く無用たるべく、又婚礼取結に付て惣を百姓奢ケ間敷義致間敷事。

一、諸役人私用は申に及ばず御用たりとも儀式にあらざる過役等申掛け、或は給人物成納方に付、非道又は年貢の外役義ケ間敷義申付け候事、断を申べく候、若し取引無之候事、御代官まで申出べくに付役人在に廻り候節、此方より申付賄の外庄屋百姓として自分の馳走致間敷事。

一、神事の節其村単位に取行べく仮令他村に縁者親類有之候共濫りに往来仕義少しも致す間敷事。
右条々村中の者共に申聞せ堅く相守べく候也
天和三年発亥四月
高井儀右工門
矢野清左右工門
中村角右工門
瀧野権之助
 (二百石領内年貢定役)
上灘村
高野川村 庄屋
高岸村 組頭
惣百姓中