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双海町誌

第二節 林業振興対策


一 林業構造改善事業への取り組み
 昭和五十年代、本町の林業は外材の輸入や建築様式の変化などが要因で長期低迷の状態にあった。そうしたなか、関係者の働きかけが実を結び、林業構造改善への道が開けた。一九八三(昭和五十八)年度に、国から林業構造改善事業の指定を受けたのである。
 これを受けて本町では、林業構造改善に関する基本構想を策定し、翌昭和五十九年度から昭和六十二年度までを実施期間として、同計画の推進を図った。

二 林業構造改善のための基本構想の策定基本構想の概要は、次のとおりである。
(1) 大   綱
・人が車で行動する時代に、車道のない林地が敬遠されるのは当然である。林道網の整備は行政の今日的命題として、計画的に対処する。
・優良苗木を適地に植えて、枝打ち・間伐等の育林が適切に施行されて、価値ある林材が得られる。この認識の徹底と実践を期するため、育林事業や協業活動を促進する。
・短期的現金収入源として椎茸生産を高め、必要な集出荷施設を整備する。更に量産と品質向上を期して、本町の特産として定着させたい。
・集会施設を整備して専門的研修と本音の協議を重ねることにより、林家の体質改善を期す。
・これらの事業の推進を専門的指導に当たる組合の役割は極めて大きい。全林材の共販体制を推進することにより組合の充実を期す。
・外材と異なり、四季めぐる日本で、数十年を経た林材は特有の美しい年輪を重ねる。立地と歳月を絶対条件とした日本材は固有の特産物であり、逆に外国へ進出することも可能である。前途に希望を託して事業を推進する。


(2) 事業計画の内容
ア 協業活動促進事業
①事業の概要
 森林組合事業の拡充強化を図るには、協業活動を一層推進する必要があるため、町内の林業地帯の三地区(壷神、大久保、大栄)に三団地を設定し、計画協業生産のモデルとして波及を図る。
 このため、事業推進に必要な調査測量器具及び航空写真を導入整備するとともに、先進地調査を行って、事業の普及啓発と林業技術の向上に努め、協業を進めることにより、森林組合の強化と森林所得の向上を図る。
②協業生産促進計画

イ 森林施業経営指標団地整備事業
①事業の概要
(ア) 東越池ノ奥団地
 この事業を設置した東越池ノ奥団地は、総面積一〇〇・二七ヘクタール・蓄積八、八六九立方メートルで、林種構成はスギ七八二五ヘクタール、ヒノキ一二・七二ヘクタールとなっている。そのうち保育を必要とする二令級以下は、八・〇九ヘクタールであり、除間伐を必要とする四~六令級は五〇・四八ヘクタールである。
 当団地に下刈り・枝打ち・除間伐の展示林を設置し、伐期八〇年を目途とした良質材生産の波及拠点とする。
 スギ・ヒノキニ~四令級の三〇・二九ヘクタールについては、良質材の生産を目指して枝打ち等を実施し、間伐時における価値の増大を図り、現在の既設林道を利用するとともに、林道一路線 (七〇〇メートル)と作業道二路線(六〇〇メートル)を新設して生産基盤の整備を図り、近代的林業経営の指標とする。
(イ) 松尾平山団地
 この事業を設置した松尾平山団地は、総面積六七・二四ヘクタール・蓄積四五二二立方メートルで、スギ二九・四ベクタールーヒノキー四・一五ヘクタールとなっている。そのうち新植二・九七ヘクタール・下刈り二二・二二ヘクタール・枝打ち一九・二六ヘクタール・除間伐二九・八五へクタールを計画し、良質材生産を図る。当団地には林道もなく、除間伐等の作業の遅れが目立つため、林道の開設を強力に推進し、良質材の生産に努める。
②集約育林指標団地整備計画

ウ 生活環境施設整備事業
 ①事業の概要
 森林所有者の林業技術の向上・林業経営の合理化・林業従事者の生活改善等の研修の場とするほか、広く地域住民の交流促進の場とするため、集会施設一棟(一七六・〇平方メートル)を新設し、当町林業振興の一拠点施設とする。
②利用計画
③事業計画

エ 特用林産物集出荷販売施設整備事業
 ①事業の概要
 本町の一九八四(昭和五十九)年のシイタケ生産は、乾シイタケ二万キログラムであるが、昭和六十三年の生産目標を五万キログラムとした。
 目標達成のため原木の町外流出を防止し、町内原木を効率よく利用して榾場整備を図るとともに、集出荷施設を設置することによって計画出荷を行い、農林家の所得増大を図る。
②利用計画
③事業計画


(3) 事業の実施体制
ア 市町村及び関係団体の推進体制
 新林業構造改善事業を実施するために設置した双海町地区林業構造改善推進協議会が中心となって、町長の諮問に応じ、事業計画の樹立及び事業の実施に関する調査・協議を行い、本事業の円滑なる推進を図る。
イ 事業実施主体の実施体制及び管理運営方法
 事業実施主体の実施体制と、管理運営の方法は次のとおり。


三 林業構造改善事業の実施状況

①昭和六十年度

ア 双海町林業研修集会施設新築工事事業
  ・施行箇所…双海町大字大久保甲四〇
  ・事業規模…木造二階建 一棟(二一九・〇四平方メートル)
  ・事業費…三二〇〇万円
  ・工事の概要…集会用建物(木造二階建て) 集会用備品
  ・施行の方法…請負
  ・施行期間…昭和六十年七月二十日着工~昭和六十年十一月三十日完成
  ・施行後の管理方法…双海町
  ・管理主体名・:双海町

イ 双海町森林組合事務所新設事業
  組合員をはじめ関係者一同が待ち望んでいた事務所の新設が、林業研修集会施設と並行して着工されることとなった。
 工事は、補助を受けない自立で行った。
  一九八六(昭和六一)年三月十九日、林業研修集会施設と あわせて竣工式が行われた。
 ・施行期間…昭和六十年七月二十三日着工~昭和六十年十二月二十日完成
 ・事務所面積…二四平方メートル
 ・事業費…三三九万円

②昭和六十一年度
 ア林産集落振興対策事業
・施設筒所…双海町大字大久保甲四〇番地
・事業規模…木造平屋建て(延二五三・〇〇平方メートル)
・事業費…二〇六八万円
・工事の概要…屋根:大波スレートVP
       壁:リブスレートVP
・施行の方法…請負
・施行期間…昭和六十一年九月二十五日~昭和六十二年十二月十五日
・施行後の管理方法双海町…森林組合規定による。


協業生産促進計画

協業生産促進計画


協業事業計画

協業事業計画


集約育林指標団地整備計画

集約育林指標団地整備計画


生活環境施設整備事業 利用計画

生活環境施設整備事業 利用計画


生活環境施設整備事業計画

生活環境施設整備事業計画


特用林産物集出荷販売施設の利用計画

特用林産物集出荷販売施設の利用計画


特用林産物集出荷販売施設の事業計画

特用林産物集出荷販売施設の事業計画


新林業構造改善事業の推進体制

新林業構造改善事業の推進体制


新林業構造改善事業の実施体制・管理運営

新林業構造改善事業の実施体制・管理運営