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双海町誌

第三節 施設の整備

一 タやけこやけライン
 国道三七八号は、一九六六(昭和四十一)年から舗装工事が開始され、五年間の歳月を要してほぽ完了した。その後、モータリゼーション発達に伴って、本町の海岸線道路において渋滞が発生し始めると、国道三七八号バイパス路線の整備が進められた。このバイパス路線が一九九三(平成五)年に全線改良されたことにより、本町の基本構想であった「広域的な交流のための大動脈」が整備されることとなった。
 双海町と長浜町では、両町の海岸沿いに走る国道三七八号の約三〇キロの整備が完了する運びとなったことを機会に、観光や経済発展などを推進するために、この区間の愛称を内外に広く募集した。
 二三〇〇余点の応募作品を審査した結果、上位入賞作品は次のように決まった。
 最優秀賞「夕やけこやけライン」 永井 孝幸(由並小)
 優秀賞 「伊予灘夕焼け海道」  松下  香(富貴)
 優秀賞 「瀬戸茜街道」     味村トシコ(長浜町)
 最優秀賞となった「夕やけこやけライン」は、本町が発行する印刷物・ポスター・絵はがき・テレホンカードなどに使用され、今では町内外に広く知られるようになった。


二 ふたみ潮風ふれあい公園
 ふたみ潮風ふれあい公園は、ふたみシーサイド公園と同時に落成し、一九九五(平成七)年四月にオープンした、スポーツ・学習・レジャー・自然観察・散策などが気軽に楽しめるまちづくりの中核施設である。健康づくり、交流・研修の場としても利用されている。海水浴客の多い夏季と週末の利用が特に多い。
 公園内にある主な施設は次のとおり。

みどりの広場
 広大なグラウンドと管理棟(ミーティングルーム)からなるスポーツ施設。平成五年四月、公園のなかで最も早くオープンした。
 オープンの際には、「ふたみ潮風サッカーフェスティバル」が盛大に開催され、本町出身の上田監督率いる大阪商業大学、同じく武智部長率いる関西大学をはじめ関西学生サッカーリーグ加盟の四校によるリーグ戦などが行われた。
 なお、町内に在住する人には無料で開放している。

潮風ふれあいの館(双海町体験学習施設)
 テラスから〝日本一の夕日〟が一望できる本町初の宿泊施設で、平成六年四月にオープンした。学習目的以外でも利用できる。
 そのほか、テニスコート・芝スキー場・ふれあい広場・ちびっこ広場が平成七年四月にオープンし、平成八年にキャンプ場が完成して全施設が整った。
 二〇〇三(平成十五)年現在の施設の利用料金は次のとおりである。


三 ふたみシーサイド公園
 一九九五(平成七)年三月、交流の拠点施設として同じ目的をもつふたみ潮風ふれあい公園と同時にオープンした。
 同公園には、一〇〇台収容できる駐車場・四〇〇メートルの人工砂浜・特産品が並ぶ特産品センター「ふたみんC」・民営化したレストラン「レストランタ浜館」・五本の水槽が並ぶミニ水族館・日本初の夕日をテーマにした「夕日のミュージアム」・各種イベントに利用されるイベント広場などの諸施設が、長さ四〇〇メートル・幅三〇メートルの細長い敷地に配置されている。
 全般的に若者向きの施設といえるが、砂浜の中央部に、砂止めを目的とした約四〇メートルの突堤「恋人岬」が一九九八(平成十)年に設けられ、一層その傾向が進んだ。
 平成七年のオープン以来夕焼け市専用棟、加工場、突堤など様々な施設整備のほか、和船、願い石、幸福の鐘などの展示物においても様々なリニューアルが試みられている。なかでも平成十六年度に整備したバリアフリー化のための県産材を活用したウッドデッキ風の木製橋や、三本の突堤に石彫歌碑七基を配置した散策道「童謡の小径」は、利用者に好評である。
 ふたみシーサイド公園は、平成七年度に「えひめアメニティ賞」を受賞した。この賞は、地域の風土と調和した景観の形成に貢献した建造物として特に優秀であると認められたものに贈られる賞で、瀬戸内海の原風景とうまくマッチした施設として高い評価を受けた。
 公園の運営には「(有)シーサイドふたみ」が当たっている。同社の資本金は二〇〇〇万円で、そのうちの六二パーセントを本町が、残りの三八パーセントを農協・漁協・商工会・森林組合など六団体が出資して設立に当たった。同社の経営は極めて健全で、これまで一度も資金借入をすることなく運営されている。このことは、全国で運営されている第三セクターが何らかの経営上の問題を抱えているなかで、極めて希有な例といえる。
 特産品センターの商品構成は、本町の特産品の目玉である煮干しを中心とした海産物、柑橘や野菜などの季節農産物、みやげ物、日用品、ジャコ天の実演販売、鮮魚類の店頭販売、夏季の海水浴客相手の臨時屋外売店、夕日をイメージしたソフトクリーム販売・飲食自動販売などである。なかでもジャコ天は、町外各種イベントへの参加などで報道機関等にも取り上げられるようになり、知名度が高まっている。今後も、「楽しい、新しい、美しい」をキーワードとした魅力的な商品構成を心がけている。
 また、販売促進のため観光協会や各種団体と連携して次のイベントを催している。
・一月   初春水仙花祭り
・一月   双海町柑橘祭り
・三月   ワカメ祭り
・五月   シーカヤックフェスタinえひめ
・六月   海開き
・七~八月 夕やけこやけステーション
・八月   ふたみの夏祭り
・八月   夕やけ音楽祭
・十一月  パラグライダー大会
・十二月  シー・サイド「ロマンチックークリスマス」
・十二月  空からサンタがやって来る
・十二月  観光いちご園オープン
 なお、二〇〇四(平成十六)事業年度の運営の基本方針と重点事項は、次のとおりである。

運営の基本方針
 一市二町の合併という大きな時代の流れを迎えようとしているが、合併後も「(有)シーサイドふたみ」の目標でもある「交流と「活性化」をテーマとして、「ふたみシーサイド公園」を拠点に様々な事業を積極的に展開していかなければならない。
 合併という大きな流れのなかから今後の方向性を見極め、特産品センターの使命である地域の活性化と、産業の振興を軸とした愛される店舗づくりを目指し、消費者のニーズを掘り起こしつつ安定的な経営に努めていく。
 消費者の特産品センターへの期待は、食品の安全性に対する世論の高まりを受けて高品質・健康性・安全性・新鮮さ・多品目・低価格・個性的なものがより一層求められている。信頼とは、商品を介した人の心の温かさであるから、町の情報発進・案内の施設としての機能を再認識し、合併後も本町の顔としてそれらを追求していきたいと考える。
 第三セクターの特性は、民間活力を導入した先進的な企業感覚にある。出資団体はもとより関係機関団体とのネットワークを広げながら、二〇〇二(平成十四)年度に新設された特産品加工工場における各種の特産品の開発研究や実験を繰り返し、これらの諸施設の有効利用を図りながら、積極的な会社経営を心がけたい。

重点事項
・合併に向けての経営改善
・シーサイド公園のグレードアップ化を図る
・特産品加工工場を活用した特産品の開発研究
・特産品の販売促進及び普及宣伝
・特産品生産者団体の育成
・施設利用の各種イベントなど観光事業の共催
・夕日のミュージアムの管理運営
・各施設の特色ある個性化及び接客対応等の教育研修
・夕焼け市の企画運営及び諸団体との連携


四 道の駅「ふたみ」
 一九九四(平成六)年八月四日、ふたみシーサイド公園が、四国の「道の駅」に指定された。道の駅は、ドライバーの休憩所として使用されることはもちろん、文化や歴史、名所や特産品などの情報を提供し、町と町を結ぶ活力ある地域づくりを推進するものとされ、当時、四国では一六か所が指定を受けていた。
 道の駅の指定によって、ふたみシーサイド公園は、全国の道路地図に目立つように印刷され、ドライバーの目印的な存在にもなるため、大きな宣伝効果をもたらした。
 そして、二〇〇四(平成十六)年二月二十八日、本町において「道の駅世界大会」が開催された。大会には、バングラデシューペトナム・スリランカ・中華人民共和国・ラオス・タイ・フィリピン・インド・ケニア・マレーシアから約三〇人が参加して、約一時間ほどの会議が行われた。


五 夕日のミュージアム
 一九九五(平成七)年三月十六日、本町が推進している夕日にこだわった町づくりの集大成ともいえる「夕日のミュージアム」がふたみシーサイド公園内にオープンした。
 このミュージアムは、日本初の夕日をテーマにしたミュージアム(博物館)として、各方面から注目されるなかで誕生したものであった。
 横にビッグバンの広場、野外ステージ、屋上にはイギリスのストーンヘンジ、前面には美しい人工砂浜、夕日を見つめるモアイ像、観覧席が設けられた。
 館内では、単に見るだけの展示ではなく、船の振動も体感できる操舵室など、実際に体験できる多彩な施設が配置された。
 入館者は、オープンから約五〇日で、一万人を超える盛況であった。平成十五年度末現在の入館者数は、七万五〇〇〇人となっている。


六 ミニ美術館「芸術館」
 一九九七(平成九)年二月、八景山に開設された。この美術館は、平成元年から八景山をアトリエにして芸術活動を続けている堀内健二(松山市在住)が、「芸術を一般の人々に」と、アトリエの一部を開放したものである。
 展示されているのは、堀内の作品をはじめ、香港・フランス・アメリカ・南アフリカなどに住む彼の芸術家仲間の作品で、彫刻・版画・絵画から写真まで幅の広いものとなっている。


七 ミニ資料館「海舟館」
 一九九七(平成九)年四月に灘町一丁目に開設された漁船模型の資料館で、若松進が自宅の離れを開放したものである。
 舟の歴史をたどれるように、様々な舟の模型が展示されているほか、網にかかったナウマン象の化石なども展示してある。


八 恋 人 岬
 一九九八(平成十)年、海開き(六月二十八日)に合わせてふたみシーサイド公園内に誕生した。県が進めている海岸環境整備事業に伴い、夕焼けをテーマにモニュメントを設置したものである。
 ふたみシーサイド公園には長さ約四〇〇メートルの人工砂浜が広がっているが、波で砂が徐々に削られているため、県は砂止め策として砂浜両端に設けた堤防の延長と、砂浜中央部に新たに約六五メートルの突堤を設置した。その突堤の先端部を利用して〝夕焼けスポット〟を整備したものであった。
 突堤の先端部には、高さ四メートル、幅約ニメートル、厚さ約九〇センチの石製のモニュメントが設置され、前面に童謡『赤とんぼ』の歌詞「夕やけこやけの赤とんぼ」と赤とんぼ二匹、トンボを指さす少年像が彫り込まれた。また、上部には直径約六〇センチの丸い穴をくり抜いた。
 一方、公園側には歌詞の続き「負われて見たのは…」を彫り込んだ直径八〇センチ、高さ三〇センチの円柱モニュメントニ個を設置した。
 春分と秋分の日の夕方に同円柱の上に立つと、突堤先端部のモニュメントの穴のなかに真っ赤な夕日が見える仕掛けになっている。


九 夕日ヶ丘観光梨園
 一九九八(平成十)年八月十五日、伊予上灘駅から車で一五分ほどの牛ノ峯中腹にオープンした。
 同園は、面積が約四五アールで、伊予灘を見おろす日当たりの良い斜面にあるため、秋の自然が満喫できる。農薬の使用を軽減しているほか、虫などの害を防ごうと果実を一つずつ紙袋で包装しているため、品質も折り紙つきである。毎年、地元の保育園児が招待されている。

一〇 観光いちご園
 一九九九(平成十一)年一月二十四日、「ほたるの里いちご研究会」(西岡富子会長)の会員五名が運営する「らくちん観光いちご園」が久保で開園した。
 この園は、約二〇アールの敷地の半分がハウス施設になっている。いちごは地面から一メートルほどの高さで成育しているため、高齢者や幼児でも楽に取ることができることから、「らくちん」の名前がついたという。このような設備は、愛媛県では初めてのこととされた。
 その後、二〇〇三(平成十五)年に「いちごの家おおもり」「にっこりいちご園」「いちご園みどり」が開園したため、「ふたみ観光いちご園の会」を結成し、今日に至っている。
 シーズン中は、一万人以上の客を集めている。

一一 和船船蔵
 二〇〇〇(平成十二)年三月、ふたみシーサイド公園の一角にオープンした。同船蔵に保存されている和船は、高岸網組が所有し、かつて高岸の浜で昭和二十年代まで地びき網に使われていた、本町の漁業史上でも極めて貴重なものである。一九五二(昭和二十七)年に本町の若松造船所で建造されたものといわれる(同時期に建造されたもう一隻は香川県の五色台にある歴史民俗資料館に保管されている)。
 また同船蔵には、地びき網一式・櫓・昔懐かしい地びき網用口クロなどの付属品も展示されている。

潮風ふれあいの舘(双海町体験学習施設)

潮風ふれあいの舘(双海町体験学習施設)


「(有)シーサイドふたみ」歴代代表者

「(有)シーサイドふたみ」歴代代表者