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双海町誌

あとがき

 「歴史は面白い。」私たちが今踏みしめている土地で、毎日見つめている海で、変わることなく四季を映し出す山で、先人たちは何を想い、何を創造し、何を守って来たのでしょうか。そのような問いかけがされたとき、史誌が、当時の人々の暮らしや考え方を現代に生きる私たちに伝えてくれるのです。史誌は、読み手の想像をかき立て、その時代を生きた人々の喜怒哀楽さえ感じさせる力を持っています。
 何十年か後に、双海町が地方自治体として存在していたことが人々の記憶の奥にしまい込まれたときに、双海町五〇年の歴史、そして、双海地域の歴史が、この「双海町誌改訂版」によって、生き生きと甦ることを願って編さん作業を行ってきました。
 双海地域の史誌は、明治四十三年から編さんされた「上灘村郷土誌」「下灘村郷土誌」、昭和四十六年に発刊された「双海町誌」がありました。多くの町民先輩諸氏の努力によって編集されたこれらの書には、本町を創り、育て、発展させてきた先人の努力の跡が綴られています。その後、三五年間の双海町の歩んできた歴史を「続編」として編さんする方針で平成十五年六月に第一回編さん委員会を開催しました。しかし、同年八月「双海町閉町」が現実味を帯び、町誌が町民の共有財産であるべきことや双海町として最後の書という性格を持つため「改訂版」の編さんへと舵を切り直し、実質一年半という短時間での編さんとなりました。
 編さんにあたっては、双海町教育委員会社会教育課が所管し、一五名の編さん委員と四名の事務局員による二七回に及ぶ編さん会議によって様々な角度から検討を行ってきました。その間、取材、資料の収集、執筆、校正などの作業を繰り返し、できるだけ郷土の真実を求めようと努力しました。執筆者の多くは繁忙な本務のかたわらこれにあたったものであり、その苦労は容易でなかったことをご理解いただきたく存じます。編さん作業は、一年半という短い期間であったため、基本的に既刊の双海町誌を基本に構成し、新事実の発見されたもの以外については既刊誌を尊重しました。しかし、時間的な制約があったことや、編によっては資料の収集に少なからず困難を極めたこともあり、全編にわたって客観的な内容を網羅できたとは申せません。
 いずれにしましても、編さんに携わった委員諸氏だけでなく、貴重な資料を提供していただいた町民の方々、各種団体の皆様のご協力により、無事このような事業が達成できたと厚くお礼を申し上げます。「双海町誌改訂版」が、双海町の輝かしい歴史の一端を伺い知るものとして、また、多くの町民のふるさとを愛する心情を高め、新しい時代を拓くメッセージとなることを切に希求しております。双海町民の皆様のお手元に留め置かれ、ご愛読いただければ幸いに存じます。

平成十七年三月         双海町誌編さん委員会事務局