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久万町誌

発刊のことば

 発 刊 の こ と ば
                                                久万町長 河 野 修
 新町が発足して三十周年の良き日を迎えた。この三十年の歳月は激しい変化と飛躍の時代であった。
 先輩の血のにじむような努力によって培われた町づくりの基盤の上に、町民が一丸となり、幾多の困難を克服し、今日みる久万町を築きあげ、県下有数の町として堅実な歩みをつづけている。
 このたび、三十周年記念事業として、前に出版された町誌に其の後の町の歩みを加えるなど改訂版として、先輩の足跡を尋ね顕彰するとともに二十一世紀をめざし飛躍する誓を新たにするものである。
 歳月の流れはいいもので、生きることのみを考えた生活の時代から、生きることをどう感じてゆくかという感性の時代へと大きく変化した。
 感性の時代・文化の時代にふさわしく、本格的な文化ホール・木造の美術館等文化施設の充実は、生活にやすらぎと潤を与えている。
 愛媛県林業試験場の誘致決定は久万林業史に輝かしい一頁を加え、林業と山村の振興に大きな原動力となるものであろう。
 自から考え自から実践するふるさと創生事業は、真の地方の到来と喜びたい。
 今日の成熟化時代は見えざる価値の追求の時代である。時間的・空間的・肉体的・精神的な面での充実であり、人間が人間らしく生活してゆく幸福の根源である。その生活の場が農山村において求め得られるものと信じている。
 懸案の真弓トンネルが完成し、三坂トンネル着工への夢も広がり、都市と農村交流を図る天体観測館・スポーツ合宿村の建設、特別養護老人ホームの建設など明るい展望が開けている。
 三十周年を機に、今一度、静かに郷土の雁史をふりかえり、先人の努力に心から感謝し、一層の飛躍を決意する次第である。
 本誌が更に新しい創造への出発点となり、新しく変り行く時代に対処して、よりよい歴史が町民の手によって書き加えられることを心から願っている。
 町誌改訂にあたり、多くの方々の格別のお力添えで、こんなに立派な町誌になりましたことに対して、心から感謝するとともに、深く御苦労に対してお礼を申しあげたい。
 この町誌が「自然と共生する高原文化のまち」づくりに指針を与えてくれることを信じ、久万町の一層の発展を祈念して発刊のことばとする。