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久万町誌

一 久万高原

 愛媛県の盆地は外帯に散在し、平野はいずれも中央構造線の北にある。したがって、仁淀川・重信川・肱川・立岩川の上流には、断線によって小盆地が列をなして点在しており、久万高原の久万町も、この断線にそって並んでいるわけである。
 久万町内にある四つの小盆地は、長瀞系変成岩山地区のバックスロープを雨下する仁淀川の上流の諸川によって、新しい被覆層である石鎚層群(火成岩)・久万層群(堆積岩)が次第にけずりとられ、つくられていった梨棚式配列の小盆地である。西方から二名・露峰・久万・畑野川・直瀬・笠方の順に盆地が並んでおり、いずれも仁淀川の上流に残された平衡状態に近い河系のため、面状浸食や埋積作用が進められてできた小盆地であると推定される。なぜならば、盆地底に現世統、その縁に更新統の推積物が見られる一方、周辺を老年期性の地形(化石準平原)がとりまいているからである。
 久万高原の直瀬・畑野川・久万・父二峰の四つの盆地は、北東から南西に並び、北西から南東へと傾斜している。
 直瀬盆地は上直瀬・下直瀬地区に分かれていて、石墨山・白猪峠・井内峠・笹森山に囲まれている。房代野は七五〇㍍の高地に集落をなしていて畑作が中心であるが、段・永子・仲組・下組・下直瀬は海抜五五〇㍍から六五○㍍の盆地上に集落をなし、米作が中心である。
 畑野川盆地は上畑野川と下畑野川地区に分かれていて、笹森山・陣ヶ森・皿ヶ嶺・菊ヶ森に囲まれている。河之内・遅越・明杖・宝作・西浦・上田・中村・河合・狩場・柳井と集落をなし、盆地の大部分は海抜五〇〇㍍から六〇〇㍍の位置にある。この盆地も米作が中心である。
 久万盆地は、明神・久万・野尻・菅生地区に分かれていて、菊ヶ森・皿ヶ嶺・引地山・三坂峠・桂ヶ森・鵜田峠・農祖峠に囲まれている。この久万盆地は、久万高原の四つの盆地の中で最も大きく、人口も集中している地域である。海抜七二〇㍍の三坂峠には、伊予鉄ドライブインをはじめ、飲食店や季節の農産物・加工品を売る店も並び、昔、旧道を往来する人々のために茶屋のあったこの地も、今では観光客でにぎわっている。
 国道三三号線にそって、東明神・西明神・入野・菅生・久万・上野尻・下野尻の集落に分かれている。海抜は、三坂峠で七二〇㍍・六部堂で六五○㍍・野地五七八㍍・高殿五一八㍍・町内四九〇㍍・上野尻四七一㍍・落合四二六㍍となっていて、久万川に沿って北西から南東にかなり傾斜している。
 父二峰盆地は二名・露峰・父野川地区に分かれていて.農祖峠・鵜田峠・桂ヶ森・正持ヶ峠・サレガ峠・大堂峠・下坂場峠・真弓峠に囲まれている。この盆地は、海抜四五〇㍍から六〇〇㍍に集落があるが、久万町の四つの盆地の中では一番せまい。

地区別人口・戸数

地区別人口・戸数