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久万町誌

1 三波川帯

 三波川帯は、埼玉県長瀞付近に産出する変成岩と同種の岩石からなる変成岩地域であり、中央構造線の外帯に長野県から紀伊半島、四国中央部をへて熊本県八代南部までほぼ連続して分布している。
 三波川帯の基盤をつくっている大部分は結晶片岩である。これは、今ではおもに古生代の後期の地層から変成したものと考えられている。三波川帯では結晶片岩類を貫いているカクセン岩・カンラン岩・蛇紋岩・みかぶ型緑色岩類があるが、これらの岩石ができた時代は、はっきりわからない。その他に石鎚山第三系が分布しているが、これより他の時代の地層はまったく分布していない。
 三波川帯に中生層が欠けているのは、結晶片岩類の成因に大いに関係がある。この結晶片岩類は地下三〇㌔㍍ぐらいのところでできたものであり、このように深所にあったものが、現在地表に広く分布しているのは、その上にあった厚い岩の層が、長い年月の間に浸食されたものと考えられる。しかし、浸食された岩の層の中に中生層のものがあったかどうかということはわからない。
 みかぶ線と仏像線の間にある秩父帯には第三系がないことから、かつて外帯に広く海成古第三系が分布していたが、その大部分が侵食されてしまったと考えられる。石鎚の始新世地層を海生化石を含む紀伊半島中央の始新世屑を考え合わせると、四国及び紀伊半島の外帯はかつて古第三紀の海が相当広い範囲に広がっていたと考えられる。

三波川帯

三波川帯