データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

久万町誌

5 天気と気候

 久万町では、過去のデータからみてみると、一〇月中旬から一一月上旬には初霜があり、一一月下旬から一二月上旬にかけて初雪が降る。これらを松山市と比較してみると、初霜は二〇日から一ヶ月、初雪は一ヶ月から二ヶ月はやい。このことから、久万町の冬は非常に寒いことがわかる。
 また、天気日数をみると、晴天日数四〇・六%・曇天日数三八・六%積雪・降雨日数二〇・六%の割合になっている。つまり、久万町では五日に一日の割合で雨または雪が降っていることになり、他の四日のうち二日は晴天で、残りの二日は曇りの天気であるということになる。このように、晴天日数が少ないことも久万町の気候の特色である。
 その他の特殊な気象現象も見逃すことはできない。松山市の平野部と比較すると、久万町は山間部のため夜間気温が下がり、温度が一〇〇%に達することが多いので、朝や雨天の後、雲や霧が多く発生している。特に九月から三月にかけての秋・冬・春のシーズンに非常に多い。また、一一月から三月にかけて最低気温が氷点下になることが多いので、霜や霜柱、結氷、降雪などの異常現象が多くみられる。
 この特殊な気象現象は、作物に対しても多くの被害をもたらすが、それ以外にも、三坂峠を通る車が霧で視界がききにくくなって困ったり、積雪時に道路が結氷でおおわれて非常に危険になったりする。
 次に、久万町の積雪であるが、昭和三八年には豪雪があり、二㍍近くも積もり、すべての交通、人々の生活に大きな影響を与えた。しかし、一一月・三月に降る雪は回数も少なく、量も少ない。積雪量が多く、回数も多いのは、一月から二月である。多いときには一度に三〇~五○㌢㍍、少ないときでも一〇㌢㍍程度も降る。松山市と比較すると、久万町では気温が低いため雪が解けにくく、最低気温が氷点下に達するために凍結し、非常に危険な状態になる。またその上に降雪が続けば多くの被害を出す。その反面、冬のスポーツであるスキーのおもしろさを心ゆくまで味わうことができる。
 久万町の湿度は、松山市と比較すると少し高い値を示している。これは、気温が低いため湿度が大きくなるのである。また、一般的傾向としては、気温や降水量とは逆に、冬の寒い時期に湿度が高く、夏は低い。
 次に久万町の各地区の気候を比較してみよう。
 これをみると平均気温も降水量も、同様な傾向を示し、降水量は六、七月の梅雨期と九月の台風期に多く、平均気温は一月に最も低く、八月に最も高いことがわかる。ただ、測定した場所によるためか、平均気温は旧久万地区と父二峰地区はほぼ同じ値を示しているが、川瀬地区は二度ほど高い値を示している。降水量は、旧久万地区と川瀬地区はほぼ同じであるが、川瀬地区の方が標高が低いため気温が高い。父二峰地区は他の地区に比べて降水量がわずかに多い。このように、わずかな差はあるが、地形が類似しているため、その気候もまたよく似ている。したがって初霜、初雪もまた同じ時期にあり、気象現象による災害も同時に起こっている。
 以上の事項を整理すると次のようになる。
・久万町のような盆地では、気温の日変化・年変化ともに大きく、特に最低気温は非常に低い値を示す。
・気温は、高度が高いため平野部に比較してかなり低く、風も強い。
・久万町の地形が南北に細長く伸びているので、南寄りの風、北寄りの風が年間を通じて多い。
 特に、障害物の関係で冬は北西、北の風が多く、強い。
・降水量は、高度が一、五○○から二、○○○㍍までは高くなるにつれて増加するのでで、平野部よりはるかに多い。
 梅雨期や台風期には特に多く、いろいろな被害を出す。
・湿度は、高度が高くなるにつれて水蒸気量はわずかに減少するが、気温が低いので飽和水蒸気量が減少して、わずかに高い値を示す。
・日照時問は、盆地であることにもよるが、平野部に比して天気の悪い日が多く、そのため久万町は非常に短い。
・久万町は裸地か少なく、森林地帯が多いので、日射を吸収しがたく、冬は氷雪におおわれるのでほとんど反射され、これが気温に大きな影響をおよぼしている。
・以上の気象条件から、久万町は初霜、初雪が平野部より一ヶ月もはやく、しかも多くの雪害を出し、交通が乱れることもしばしばある。また、特殊気象現象も多くみられ、平野部に比して晴天の日数は少なく、降雪雨の日数は多い。

久万町と松山市の初霜と初雪

久万町と松山市の初霜と初雪


昭和41年久万町の天気日数と特殊気象現象

昭和41年久万町の天気日数と特殊気象現象


湿度

湿度


平均気温比較表と降水量比較表

平均気温比較表と降水量比較表