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久万町誌

3 皿ケ嶺

 六部堂からの登山道ぞいには、自生または植林されたマツ、スギ、ヒノキの林のほか、クマイチゴ、ヤマガキ、ヤマザクラ、ケヤキ、ケンポナシが多い。秋には見事に紅葉するヤマハゼなども多い。
 また、秋には実をつけるイタドリ、ゲンノショウコ、キンミズヒキ、ヌスビトハギ、イノコヅチ、コメナモミもそこかしこで見かける。登るにつれて、ノブドウ、リンドウ、ツリガネニンジン、オトギリソウ、ミソハギ、ノコンギクなどを見かけるようになる。イネ科のなかまでは、カゼクサ、ネズミノオ、トダシバ、チカラシバ、キンエノコロ、ギンエノコロ、メカルカヤ、ススキが多く、秋にもなると、これらの植物は秋の風情を一段と加えてくれる。
 山道の急な坂にかかるとクヌギ、ナラ、クリ、イロハモミジ、アベマキ、リョウブなどが多くなるとともに、よく茂ったススキも見られるようになる。これらのススキの根元では、夏のころナンバンギセルの寄生を見ることができる。このススキにまじって、秋の七草のなかまであるヤマハギのほかウバユリ、ヤマシロギクも目に映る。腐生植物のギンリョウソウ、キョウキラン、オニノヤガラ、寄生植物のヒノキバヤドリギもある。
 谷川近くの湿地には、チョウチンゴケ、ジャゴケの群生がある。
 一二○○㍍の頂上付近には、この山塊の主峰だけに自生植物の貴重な種類も多いが、なんといっても立ち並ぶブナ林はすばらしい。ブナは温帯の代表的植物である。
 このブナ林は、植物分布を調べる重要な手がかりになるほか。皿ヶ嶺登山者にとって憧れの的でもある。樹下の岩の上、陰地にあるイワカガミ、イチヤクソウ、ヒトツホグロ、コバイモは珍しい。風穴周辺には、白花のコンロンソウ、ヤマシャクヤク、バイケイソウ、エンレイソウやヤマブキソウ、クマガイソウ、暗紫色のハシリドコロなど深山性の山草が多い。
 竜神平には、ノヤナギ、細胞にたくさん水を貯えることのできるミズゴケ、それに、春、ピンクの花を咲かせ、秋には真紅の実をつけるオオズミがある。
 ベニモンカラスシジミの保護区には、コバノフウリソウメモドキ、ハコネウツギ、クロカンバ、サワグルミが見られる。また、シコクカッコウソウ、モウセンゴケ、ミミカキグサ、シダ類には、カラクサシダ、オシャクシデニダ、ヒメシダがある。エンコウカエデも見のがせない。
 キノコでは、ブナの枯木に毒を持つツキヨタケが生え、夜は青白く光る。秋のころは、山腹の雑木林の中で、シメジなどの食用キノコを見ることができる。