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久万町誌

九月

 1 山の神の例祭(第一〇章「信仰形態」参照)
 山の神の祭りは、奇数月の九日に行われるが、九月九日は例祭日として多くの地区で盛大に行われていた。この日は、材木商・製材業・炭焼きなど林産業によって生活するものはことごとく休み、それぞれの元締の所に集まり、酒肴を取りかまえて盛大に山の神祭りを行う。なお、山に関係の少ない一般の人々も山には絶対入らないことにしていた。素人相撲を行うところもあった。
 この日の夜、山の神の火祭りを行うところもあった。それは山林の害虫とか獣類を駆逐するという意味で、地域の人たちが、松明二把を作って一把に火をつけ奥山の山の神まで行き、境内で残りの一把に火をつけて火勢をあげ山の神に祈りを捧げて帰る。
 これらの行事も大正に入って中止された。今でも、山の神のすきな栗飯を炊いて供える家がある。