データベース『えひめの記憶』
久万町誌
一 文化財の概要
祖先の跡をしのぶ数多くの貴重な文化遺産は、我が国の美しい自然と相まって、諸外国の人々の羨望の的となっている。が、時の流れによって、文化財に対する国民の関心にも消長がある。特に明治以降の新思潮は、古い物を打破しようとする傾向を生み出し、欧米文化の崇拝は、我が国の古いものはすべて否なりとして、伝統ある文化遺産を破壊する危機を招いた。
政府は、明治四年(一八七一)に太政官布告をもって、国民に反省を促し、「古器旧物保存方」を発布した。続いて同三〇年(一八九七)に「古社寺保存法」を、昭和四年(一九一九)には「国宝保存法」を発布した。終戦後の昭和二五年には「文化財保存法」を制定した。愛媛県においても、その趣旨に従って「愛媛県文化財保護条例」を制定した。久万町においては、昭和三九年九月一六日に「久万町文化財保護条例及び諸規則」をつくった。それによると、文化財は次のように分類されている。
○有形文化財
建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、古文書など形のあるもの。
○無形文化財
演劇、音楽、工芸の技術など形のないもの。
○民俗資料
衣食住、信仰、年中行事などの風俗、習慣や、これに用いられる衣服や器具、家などの生活の移りかわりを理解するために大切なもの。
○史 跡
貝塚、古墳、城跡など。
○名 勝 地
庭園、海浜、山など。
○記 念 物
動物、植物、地質鉱物など。
○埋蔵文化財
土中や水底に埋まっているものを埋蔵文化財と呼ぶ。発掘され、遺跡とわかったときは「史跡」となり、土器や石器などは「有形文化財」ということになる。
現在(平成二年三月三一日)久万町には、国や県、町が指定している物件が三一ある。その内訳は次のとおりである。
〇有形文化財
一〇点 (県指定 四、町指定 六)
○無形文化財
七点 (いずれも町指定のみ)
〇史 跡
二点 (県指定 一、町指定 一)
○名 勝 地
二点 (国指定 一、県指定 一)
〇記 念 物
一〇点 (県指定 三、町指定 七)