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久万町誌

6 肉用牛の繁殖センター

 ほとんどの農家では、牛か馬のいずれか一頭を、経営規模の大きな農家では二頭を飼育していた。これは、農耕のための使役と厩肥利用を主たる目的としたものであった。
 しかし、耕耘機の普及や化学肥料の改良によってその目的を失い、加えて牛馬による収入があまりにも少ないことなどによって、年々その飼育頭数は減少した。
 一方、消費生活の高度化にともない、肉の需要は急速に伸び、日本の肉資源は枯渇するのではないかと心配する向きもでてきた。そこで国は、肉牛の国内需給緊急対策をたて、昭和四一年より五か年計画で、その基礎づくりとして全国に百か所、一か年に二〇か所ずつ繁殖センター、育成センターを設けることとなった。
 初年度には、四国で高知と愛媛が繁殖センター設置県として指定された。これによって久万町直瀬地区が選ばれたのである。
 事業主体には、久万町農協及び郡内四か町村の各農協がなっているが、久万町農協が委託されて運営している。
 総事業費は、二八二〇万五三〇〇円であり、そのうち国庫補助金、一〇二四万八九〇〇円、県費補助、九五六万三二〇〇円である。
 施設としては、草地改良関係・草地造成・牧道・牧柵・水路・水槽・施設関係・畜舎・農具舎・干草舎・住宅・薬浴場・牛衡器・歩行・トラクター・ジープ・刈取機・カッター・発動機・散粉機・噴霧機・尿散布機等がある。
 職員は、住み込み夫婦一組、牧夫一名であり、彼らが管理をしている。
 繋養頭数八〇頭で、その種類は、広島、島根各二〇頭、鳥取四○頭の黒毛和種である。昭和四三年八月一日現在親牛七八頭に対して受胎率八五%で六六頭が受胎している。六月一八日にセンターで初めての分娩があり、雄牛が誕生し、続いて七頭が生まれて元気に成長している。
 放牧場には自然雑草がなく、イタリアンやオーチャード、ケンタッキーなどをはじめ、数十種類の草種を混ぜてまき、四季を通じて青草のたえないようにしている。
 この肉用牛繁殖センターは、ここで生まれた子牛を郡内全町村に供給できるような繁殖産地化を目ざしたものであった。
 約二〇年、上浮穴地方肉用牛の産地、あるいは繁殖地として発展させようとした目的に向けて運営を続けてきたが、愛媛県経済農協連合会の新しい計画に移行することとなった。

繁殖センター和牛飼育状況

繁殖センター和牛飼育状況