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久万町誌

1 町財政

 地方自治体が諸種の事業を計画・実施する場合には、なんと言っても、それらの財源をいかにするかが大きな問題となろう。すなわち、やりたい事業や、やらなければならない事業が数知れずあって、理事者の悩みの種である。
 また、国や県の補助にしても、一定のわくがあるうえに、その自治体に補助を受けるのに必嬰な基礎財源がなければ、交付をうけられないというのが現状である。
 久万町が学校施設の充実、道路・橋りょうなどの新設、改修および産業部門などの、大きな事業をおこなおうとするとき、その財源は、いきおい町有林にたよらざるを得ない。しかし、町有林にも限度があるので、町では、無制限に伐採して、一般会計へ繰り入れるわけにはいかない。そこで、特別会計久万町有林では、輪伐計画(年々の伐採量を決め)をたて、その計画に従って一般会計へ毎年繰り入れを行っている。しかし、合併後、町は、当初の計画よりはるかに多くの事業を実施したために、特別会計久万町有林にも大きな負担をかけてきたわけである。
 特別会計久万町有林では町有林会計決算表に示すように、年々一般会計へ繰り出しをおこなっているが、久万町発足後九年間の統計をみても、全歳入額の一五%を占めている。しかも、これは町民税の七〇%にあたる額である。
 特に昭和三七年に久万町役場を建築した年には、八、五○○万円が繰り入れられている。この額は、実にその年の歳入総額の四〇%にあたるものであった。したがって、特別会計久万町有林から繰り入れられた額をみれば、その年の事業量がうかがえるわけである。
 久万町の会計は一般会計のほかに国民健康保険・上水道・農業共済・町有林・診療所・町立病院などの特別会計がある。
 一般会計における歳入は久万町一般会計決算書(歳入)表に示すように、年度により多少の違いはあるが国からの交付金は二〇~三六%を占め、ついで町民税の一七~四〇%、国・県の補助金を合わせて七~二三%となっている。また、歳出面では教育費の一三~三〇%が三七年を除き最高で産業経済九~二九%、役場費(総務費)一二~二二%・諸支出金○~四二%となっている。なおこの諸支出金とは他の会計へ繰り出すことで、特別会計久万町有林以外のところへ援助しているものをいう。
 また、一般会計より他の会計へ繰り出されたものの内で、病院・診療所の関係は病院診療所に対する町費負担額表に示されている通りであるが、水道事業・その他についても多額の費用を繰り出している。特に水道事業は現在順調に進んでおり、あと一~二年もすれば自営できる手はずになっている。しかし、国民健康保険・町立病院・診療所については、現在もなお町の負担は大きい。
 このように久万町では合併当時の重点日標、教育文化の向上、産業の振興、健康にして文化的な生活を営むための行政の実現に努めた。

病院診療所に対する町費負担額表

病院診療所に対する町費負担額表


年次別、水路改修並びに山林砂防事業表

年次別、水路改修並びに山林砂防事業表


合併後9年間各款別歳出状況比表

合併後9年間各款別歳出状況比表


合併後9年間各款別歳入状況比表

合併後9年間各款別歳入状況比表


年度別農林道改修工事表

年度別農林道改修工事表


久万町一般会計決算書(歳入)

久万町一般会計決算書(歳入)


久万町一般会計決算書(歳出)

久万町一般会計決算書(歳出)