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久万町誌

10 文化活動

  ア 文化協会
 久万町には、八〇余りの文化団体やグループがそれぞれ活動を続けている。これらの団体・グループ相互の連絡・協調をはかりながら文化活動を推進し、香り高い文化のふるさとを築くために、その核になる「文化協会」の結成の機運が高まってきた。昭和五二年五月二六日、一八名による発起人会が開催された。発起人代表大田正志を選出し、会則の原案、事業計画等を検討して、結成準備が進められ、昭和五三年六月三日、「久万町文化協会」が設立された。
 久万町では、全町民の健全な体育・スポーツの振興と体力の向上を図ろうと、昭和五一年に「体育協会」が結成され、活動が浸透しているが、この文化協会の設立により、体育活動と文化活動がバランスのとれた車の両輪のごとく推進されるようになった。郷土の伝統芸能である川瀬歌舞伎をはじめ、俳句・民謡・舞踊・吟詠・万歳など活発な発表大会が催されることとなった。
 今後、寿命の延びや余暇時間の増加が予想されるなかで、心に栄養を与え、より充実した生き方を目ざして、文化活動はますます盛んになっていくであろう。よりよい生きがいを願う心情の表われとしてますます盛んになりつつある文化活動を育成し、豊かな心と生きがいの追求、連帯性のかん養と情操の陶冶をはかるために、相互の連絡と協調を主眼にした「文化協会」は、今後ますます社会的要請に応えふるさとの文化の振興の方向を示唆してくれるであろう。
 協会会則には、目的事業について次のように述べている。
   久万町における芸術、文化活動を振興し、町民文化とふるさと意識の向上に資するとともに、関係団体及びグループ相互の連帯親睦をはかり、久万町の基本方針である香り高い文化の町づくりに寄与することを目的とする。
  (事業)
  前条の目的を達成するために次の事業を行う。
  ・文化財の発掘及び保存活用に関すること
  ・郷土芸能の保存伝承に関すること
  ・調査活動、資料の出版配布・啓蒙に関すること
  ・読書活動の推進に関すること
  ・各種文化講演会の開催
  ・発表会、展覧会、文化祭の実施に関すること
  ・芸術、文化関係団体及びグループの育成と連絡調整に関すること
  ・文化行政の諮問に応えるとともに、諸行事への協力に関すること
  ・久万の文化の継承と発展に貢献した個人及び団体の顕彰に関すること
  ・その他文化の振興に資すると思われる各種事業
 結成後、一〇周年を迎えて協会記念式典が昭和六二年一一月二一日、町民館に関係者一〇〇名参加のもと盛大に開催された。式典では、文化振興に貢献された方々の表彰、小椋秀雄前教育長の記念講演、記念パーティー、芸能発表が行われた。そして、今後健康で後継者の指導と文化協会の発展を目指すことを誓いあって終了した。
  イ 文 化 財
 祖先の跡をしのぶ数多くの貴重な文化遺産は、我が国の美しい自然と相まって、諸外国の人々の羨望の的となっている。
 しかしながら、時代の推移に伴って文化財に対する国民の関心にも消長があり、特に明治維新の新思潮は、旧物打破の風潮を生み、欧米文化の崇拝は、我が国の古いものはすべて非なりとして伝統のある文化遺産を破棄する危機を招いたのである。
 政府は、明治四年に太政官布告をもって、国民の反省を促す「古器旧物保存方」を発布し、つづいて同三〇年に「古社寺保存法」、昭和四年に「国法保存法」同二五年に「文化財保存法」を制定した。
 愛媛県においても同法にのっとり、「愛媛県文化財保護条例」を制定した。
 文化財の保存及び活用を図り、町民の文化的向上に資する目的で、昭和三六年九月一六日、「久万町文化財保護条例」を制定、委員六名(現在一一名)を委嘱した。
 この文化財保護委員会の設置により、有形・無形文化財、民俗文化財、記念物のうち、歴史上、芸術上、観賞上、学術上および生活の推移の理解上必要なものなど、価値の高いものを選び、指定して保存につとめている。昭和四五年以降、毎年各地の文化財、民俗資料調査を綿密に行うなど、文化財の発掘発見に力を注ぎ、地味な活動を展開している。
 一方、町を挙げて文化の伝承にも力を入れている。昭和四三年、久万町合併一〇周年に際し、「久万町誌」と「一〇年の歩み」を発刊した。それ以来「文化財物語」「久万の伝説」「みちしるべ」など一〇に余る郷土読本を発行したり、昭和五二年からは、中学生を対象とした「ふるさと教室」や「ふるさと移動教室」を実施したりして、文化財についての啓発活動を行っている。また、同年七月、郷土の歴史をしのぶふるさと村が開村し、先祖が残した大切な遺産、手作りの文化財が展示されるなど、町民と行政が一体となった活動で、文化財に対する認識を更に高めている。
 文化財は次のように分けられている。(久万町文化財保護条例による)
  ○有形文化財
    建造物・絵画・彫刻・工芸品・書籍・古文書など形のあるもの。
  〇無形文化財
    演劇・音楽・工芸の技術など形のないもの。
  ○民俗資料
    衣食住・信仰・年中行事などの風俗、習慣や、これに用いられる衣服や器具、家などの生活の移りかわりを理解するために大切なもの。
  〇史 跡
    貝づか・古墳・城跡など。
  〇名勝地
    庭園・海浜・山など。
  ○記念物
    動物・植物・地質・鉱物など。
  〇埋蔵文化財
    土中や水底に埋まっているものを埋蔵文化財と呼ぶ。発掘され、遺跡とわかったときは「史跡」となり、土器や石器などは「有形文化財」ということになる。
久万町で文化財として指定されているものは、次表の通りである。

昭和62年度久万町文化協会事業報告

昭和62年度久万町文化協会事業報告


昭和62年度久万町文化協会決算書

昭和62年度久万町文化協会決算書


久万町文化協会役員名簿(昭和62・63年)

久万町文化協会役員名簿(昭和62・63年)


久万町内の国・県・町指定文化財一覧

久万町内の国・県・町指定文化財一覧