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久万町誌

14 上浮穴産業文化会館

  ア 整備検討の経過
 昭和五七年(一九八二)一月、前知事から生活経済圏域において、地域のニーズに合った広域公共施設を設置するよう検討し取りまとめるよう指示があった。
 これを受けて、県下六圏域に広域公共施設整備検討委員会が発足した。郡内は松山地方生活経済圏域として位置付け整備検討結果をまとめた。
 翌年には、上浮穴産業文化会館整備推進委員会が設置され、施設の規模、建設費等具体的な建設計画について協議をし、昭和六一年(一九八六)の着工を目指し、計画を着々と進めていたが、財源問題、県下各圏域間の均衡等のことから着工に至ることができなかった。
 国補事業とのだきあわせによる導入等の検討も進め、一方、いろいろな角度から県当局にも計画について指導を仰いできた。昭和六二年(一九八七)六月、生活文化県政を提唱推進する県施策の目玉として当地域に対し予算がつき、二か年の継続事業として認可された。
  イ 基本構想
 松山地方生活経済圏域は、県の中央に位置し、県都松山市は、政治・経済・産業・教育・文化の中心地として、四○万都市を形成している。松山市及びその周辺には、教育施設として、大学・高等学校、文化施設として、県民館・美術館・生活文化センター等が設置されており、また県民文化会館や動物園も完成し、県都にふさわしい施設が整備されている。
 これに対して、三坂峠を越えた上浮穴郡にあっては、山間へき地のうえ、経済力に乏しいため、収り上げるべき施設は設置されておらず、更に、近年、木材価格の低迷による林業の不振とこれに代わるべき産業がないため都市との所得格差が広がり、労働人口の流出による過疎化と高齢化現象が急速に進んでいる。
 このような状況の中において、豊かで明るい生活福祉社会を築くためには、地域産業の振興、経済の活性化に取り組まねばならない。それだけに生涯教育の推進、更には文化意識の向上を図るための産業、文化活動の拠点となる広域公共施設の建設が必要不可欠となってきた。
  ウ 規模及び経費
 ア 規模
   建築場所  上浮穴郡久万町大字久万町一八八番地
   敷地面積  三、九八九・六二平方㍍
   建築面積  一、五四三・一二平方㍍
   延床面積  二、二九〇・四三平方㍍
   規模    二階建
   構造    鉄筋コンクリート造・一部鉄骨
   最高の高さ 二二・二㍍
   設計者   大阪市東区船越町二丁目一番地の二
          株式会社 浪速設計事務所
   施行者   高松市亀井町一番地三
          鹿島建設株式会社
   工期    着工 昭和六二年十二月十七日
         完成 昭和六三年十月二五日                  
   事業主体  上浮穴郡生活環境事務組合(久万町・面河村・美川村・柳谷村、小田町)
 イ 経費
  総事業費       七三〇、八五〇、〇〇〇円
   本体工事費     六〇三、三〇〇、〇〇〇円
   設計委託費      一五、〇〇〇、〇〇〇円
   事務費         五、〇〇〇、〇〇〇円
   附帯工事費      六〇、六三二、〇〇〇円
   造成工事費       五、九一八、〇〇〇円
   備品購入費      四一、○○○、○○○円
  財源内訳
   県補助金      一五一、二七六、〇〇〇円
   町村負担金     五七九、五七四、〇〇〇円
    (負担割合 建設費のうち地方債に係るもの)
           久万町 一〇〇分の七〇・〇〇
           面河村 一〇〇分の四・六八
           美川村 一〇〇分の八・一六
           柳谷村 一〇〇分の五・七六
           小田町 一〇〇分の一一・四〇
           その他の経費に係るもの
                  全額 久万町
 二 今後の課題
 近年の地域社会は、経済成長や技術革新及びモータリーゼーション等の発展に伴って住民生活が物質的に豊かになってきており、余暇時間の増大や住民意識の多様化などから、文化・スポーツ・レクリエーション等の分野における活動が年々高まる傾向にある。更には住民の日常生活の行動範囲も拡大している。したがって都市と周辺町村との結びつきが強まり広域生活圏が形成されつつある。
 このような情勢の中で、行政に対する圏域住民の要望も広域化・多様化してきており、行政は、これらの要望に積極的に対応し、住民の文化の向上、地場産業の振興を図るために複合施設としての上浮穴産業文化会館の建設に着手したわけである。昭和六三年一〇月二九日、落成をみた。
 本施設における内容は、圏域においては高次な機能を有する複合施設となっている。住民に広く利用され、活発な文化活動、地場産業の振興等を中心にして地域の活性化が図られるよう目指していきたいものである。