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久万町誌

一 はじめに

久万町の将来の発展を願って
                                                久万町長 河 野 修

 歳月の流れはまことに早く、合併三十周年の記念すべき日を迎えました。あれから三十年、住みよい町、働きがいのある町、香り高い文化の町づくりを目標に、住民総ぐるみで取り組み、今日見る久万町に発展成長いたしました。
 我が国の、戦後四十年間のすばらしい経済成長は、世界が注目し、今日の豊かな日本を築きあげた底力に、全世界の人々が驚嘆しています。しかし、物質的な豊かさを求めてまっしぐらに走り、生産効率の加速度的上昇に酔いしれているうちに、環境破壊と資源の枯渇を代償とする『豊かな社会』は『大きな荒廃』を生みおとしました。さらに、物質的な豊かさを求めた代価として、『人間性の喪失』という、あまりにも高価な人間的代償を支払いました。そして今日、やっと、人々は大切なものに気付き、価値観の新しい主流として、物の時代から心の時代へと、国民意識の転換が進みつつあります。
 一方、農山村をとりまく環境の変化も厳しく、国際化の進展、農産物の需給の過剰基調、過疎化、高齢化、消費者ニーズの多様化など、農林業・農山村をめぐる情勢は変転きわまりなく、農民の不安は一屑高まり、重大な局面を迎えています。
 このように激しい経済社会の変化の中にもかかわらず、議会のご協力と町民の皆様の英知とご努力により、今日町づくりの先進地として、各方面から高く評価されるまでに成長し、着実に前進しつつあることを、町民各位とともに喜びたいと思います。
 この記念すべき三十周年を機として、久万町のさらなる発展を願って、近き未来の町づくりを考えてみました。