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面河村誌

五 石鎚山の気象

 明治二三年(一八九〇)一月、松山測候所が温泉郡持田村に設置され、現在は、松山地方気象台として、本県を中心とした気象観測に当たっている。
 昭和二十年五月から、二二年に至る二年間、石鎚山頂に気象観測所があった。ロビンソン風力計・百葉箱が備え付けられていた。無線設備もなく、下界と完全に隔離されていたため、一日の測定数値は公表されることもなく、ただ観光野帳を埋めるだけのものであった。
 石鎚山の年平均気温は三・九度C、松山に比べて一〇度C以上も低い。月別平均気温も高いのは七月の一五・三度C、最も低い記録は昭和二二年(一九四七)二月の(-)一八・八度Cであった。
 雨量は平地部の約二割増、最高日雨量は昭和二一年(一九四六)七月の三四ニミリ、月別雨量は七月の四七五ミリとなっている。
 積雪は十一月中旬から五月上旬まで続く。雪の深さについては残念ながら記録がない。
 風は南南西・南西など南寄りが多く、年中毎秒七メートル前後の風が吹いている。昭和二十年(一九四五)九月、南南東三七メートルの瞬間最大風速を記録している。
 霧は地面や海面に接した気象中で、水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって、大気中に浮遊する現象だが、石鎚山はほぼ一年中霧に包まれている。冬期は霧が樹木に着氷して、樹氷の花を咲かせる。
 曇天日数は年約二〇五日、晴天日数は約三一日、圧倒的に曇りの日が多いが、反面、周囲がくっきり浮かび上がるように見える「異常透明日」が、約一四〇日もある。これはお山の天気の変わりやすさを示す一つの現れである。
 年間を通じてみると、石鎚山の四季は、一年のうち七、八か月が冬、残りの四、五か月間で、春夏秋を分けあっている。