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面河村誌

(三) 石鎚の代表的高山植物

 1 チシマザクラ(いばら科)
 「千島桜」、その名の示すとおり寒帯性の高山植物で四国のような南日本で、本種やハクサンシャクナゲなど寒い時代の名残の植物が見られることは、学術的に貴重な存在となっている。花は直径二センチぐらいで、淡紅色、又は白色で多少芳香をもっている。五月中旬過ぎに咲き、愛媛県のサクラでは、いちばん遅く咲く。
 2 ハクサンシャクナゲ(つつじ科)
 本県に多いツクシシャクナゲと比べると、葉の浦に褐色がかった毛が密生しないで葉は無毛、淡緑色をしている。七月ごろ、白色又は微紅色の、美しい花を咲かせる。北海道・本州(中部以北の高山)で知られているが、石鎚山では、標高一五〇〇メートル以上の各所に自生している。
 3 ミヤマダイコンソウ(ばら科)
 日本中部の高山に自生する純枠な高山植物である。花は直径二センチぐらいで鮮やかな黄色をしている。
 七月、石鎚山頂の岩壁に、丸い葉と黄色の花が、あちこちと涼しい風に揺れているのを見かける。すがすがしく、すっかり暑さを忘れさせる花である。
 4 イシヅチボウフウ(せり科)
 石鎚の頂上付近で、まず目につくのは、ニンジンを低くしたような、この植物の小さい花である。丈のわりに、花の集まりが大型で、たくましい感じがする。
 石鎚の強風に耐えて、根張りが深いので抜き取ることは難しい。石鎚山の代表的な植物の一つである。
 5 シコクフウマ (ふうろうそう科)
 四国・中国・和歌山の各地の高山帯に生える多年生の草木である。花は八月、紅紫色で、直径二・五センチから三センチ、薬草といわれるゲンノショウコの花によく似ている。
 6 ツガザクラ(つつじ科)
 亜高山帯上部から高山帯の湿りのある日当たりのよい砂礫地・岩の割れ目などに生育し、群落をつくることが多い。
 高さ七センチから二〇センチぐらいの常緑小低木枝は、横に張った地下茎から直立し、さらに細かく枝分かれをする。花は七月から八月に咲き、鐘形の長さ五ミリから八ミリぐらいである。
 石鎚、面河の植物は、いわば郷土の花、学術研究の貴重な資料である。
 7 カツラの群生(愛媛県天然記念物)
 大成、桂川の谷沿いに自生する樹齢約三〇〇年のカツラの大樹、樹高約三〇メートルこの主幹一本を中心に、二〇余りの小幹、直径約一〇メートルの群生は、カツラの小樹林の様相を呈している。昭和二八年(一九五三)愛媛県から天然記念物に指定された。

単層的な社会をつくるウラジロモミ林の断面模式図

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花ごよみ

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