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面河村誌

三 チョウなどの昆虫類

 石鎚山系の亜高山帯には、普通寒帯地帯にのみ生育する北方系や熱帯に生育する南方系の種が残存している。現に、石鎚山と面河渓の昆虫について、日本各地の研究者によって報告された種は、実に数千種とか、世界に誇る昆虫の豊庫であると賞讃されている。
 北方系のものとして、フタテントウガ・キマダラトガリバ・オオアオバヤガ・オニクワガタ・ルリクワガタ・マダラクワガク・ルリスナガボソタマムシ・アカバナガタマムシ・アオアシナガハナムグリ・オオキノコムシ・ルリヒラタムシ・エゾベニヒラタムシ・フタコブルリハナカミキリ・キンスジコガネ(高山性の昆虫で金緑色に輝き、美しい)などが発見されている。
 昆虫愛好者にとって最もよく知られているチョウ類においても、シコクウラゴマダラシジミ・ウラクロシジミ・エゾミドリシジミ・フジミドリシジミ・アイノミドリシジミ・メスアカミドリシジミ・ツマジロウラジヤノソ(寒帯時代の残留昆虫の代表といわれる高山蝶、石鎚山二の鎖付近で見つかる)などや、現在日本で珍重されているヒサマツミドリシジミ・キリシマミドリシジミも発見されている。これらの種は石鎚山南側の斜面に多く分布している。
 一方、南方系の種としては、クロコノマチョウ・サツマシジミ・イシガケチョウ・ホソバセセリ・アオスジアゲハ・ツマグロキチョウ・ムラサキシジミ・ツマグロヒョウモンなどのチョウ類や、タツタカナグロシャチホコ・オキナワルリチラシ・イツシキモンキカミキリ・ラミーカミキリ・キスジゴキブリ・ツノクロツヤムシ(熱帯性の種なのに石鎚山という高山に分布していることは珍しく、近くの皿ヶ嶺もよく似た環境なのに見つかっていない。倒木にトンネルを掘って住み、羽はくっついて飛ぶことができない。黒光りする小型の奇妙なカブトムシといったところ)など、多数の種が発見されている。
 なお、春の天使ともいわれているウスバシロチョウも南方系であり、面河一帯の山畑・路傍に多く住み、県下でも多産地として知られ、日本でも優美なチョウであるという。
 また、「ミョーキン、ミョウキン」と鳴くエゾハルゼミ、「ギー ギー」と鳴くエゾゼミ類、夏の夜の風物詩であるヒメボタル・アオアシナガハナムグリ・オカモトツヤアカネ・キンズジコザネなどの珍しい甲虫類も発見されている。