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面河村誌

五 アマゴなどの魚類

 面河川の魚類の代表は、なんといってもアマゴ(アメ・アメノウオ)である。体側に大小一〇個の暗紋(パーマーク)があり、その上に朱色の点々があり、また一面に黒い小点が不規則に散布している。全体がすこぶる滑らか、丸味がある。姿も味もまさに淡水魚の女王といえる。非常に敏感な魚で、釣りには独特の技術がある。餌はセムシ(方言)を使う。昭和の初めごろまでは体長三〇センチぐらいのものがたくさんいたが、近年は魚そのものが少なくなった。川原での石焼はまた格別の風味がある。十月の末ごろ渕の流れのある小石原で産卵する。現在では天然のものに代わり人工孵化させ、養殖も行われるようになった。
 面河川水系では、上流は御来光の滝の下流から、仕七川付近まで生息する。肉食主義者で水生混虫を好んで食べる。ビワマスの陸封魚、割石川にいたアマゴは、面河ダム完成後、割石川を下りダム貯水池で生活するようになった結果、陸封(ランド・ロック)が解かれた状態になり、もとのビワマスに姿を変えたという。やがて陸封型から潮沼型に変わり、パーマークも朱点も消えて、体長が倍以上のもとのビワマスになったという。割石川からアマゴが完全に姿を消す日が来るかも知れない。
 ニジマスは、昭和十三年(一九三八)ごろから放流され、昭和二七年ごろには養殖も盛んになり、アマゴに代わる観光客用の魚である。アメリカ太平洋沿岸の原産で、急流と水温が高い日本の河川には帰化しにくいといわれている。
 アユ(方言アイ)は天然ものが、夏の初めには怒田野付近まで登って来た。放流され始めたのは、昭和二十年(一九四五)以降である。それまで、〝友釣り(アイかけ)〟は、夏の楽しみ、秋は〝いわゆるおちアユ〟を〝梁(やな)〟で取ったものである。(主として御三戸より下流)川底の岩や石に付いている〝モ類〟を食べる。清流を好み、川の濁りや有機物の汚れ、環境変化に弱い。ウロコが金色に焼ける塩焼、そして〝はらわた〟は珍味である。
 オイカワは昭和八年導入したショウハチ(方言)である。オイカワは環境変化に対してアユより強い。自然のまま放っておけば、やがてアユは減って、オイカワの天下が来るだろうともいられる。