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美川村二十年誌

刊行のことば

 昭和五〇年三月三〇日を以て美川村誕生二〇年となります。この良き日を迎えるに当り記念事業として「美川村二十年誌」を刊行する事となりました。
 村民の方々も合併当初は旧村への愛着、新村への不安と希望、交々であったことと存じますが「和」を基調とした新村計画の実践によって、不安も一掃されて、村作りの近代化が着々と実現して参りましたことは、御同慶に堪えません。
 顧みますと美川村の二〇年は国の歩みに呼応して、実に激動の歴史でありました。本誌にはその姿を部門別に詳細に記述いたしました。これと併せて旧村弘形村・仕七川村・中津村の藩政時代からの歴史をも収録しました。
 この編集には村内各種の職場の方々が本務の余暇をさいて協力されました。記述の進むにつれ意外に資料の欠除する所が多く、担当者は非常な苦心を払われました。一読されまして断片的で一貫性を欠ぐ面、あるいは誤謬・欠陥もあろうかと思いますが、執筆の各位の努力を諒とされ御寛恕を願いたいと存じます。こうした多少の欠点を持つとしましてもこれは美川村にとって誠に意義の深い村誌であります。
 この村誌を繙く時、藩政時代より星遷り歳変り長い歴史の流れの中で、人力の及ばぬ栄枯盛衰、先人・先輩の精魂を傾けての愛村の努力の跡を探り、血と汗でつづった業績を尋ね、生活の知恵や良風・美俗をはじめ、政治経済・教育文化・福祉等に具体的に貢献された歴史的事実こそは、我々子孫への教訓であり遺産であり、また将来への大きな指針でもあります。本誌が更に新しい創造への出発点となり、日々新しく変り行く時代に処して、よりよい歴史が我々村民の手によって立派に書き加えられる事を心から願う次第であります。
 なお編集委員の皆様方の長期にわたる犠牲的御努力をはじめ、編集事務局長として御苦労を願った土居武男氏、郷土出身の愛媛県史編纂委員伊藤義一先生の御指導と監修によって、立派な村誌の生まれましたことを深く感謝申し上げ、序言と致します。
    昭和五〇年二月
                                美 川 村 長  新 谷 優