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美川村二十年誌

一、土地改良事業

 昭和二四年六月に土地改良法が施行されたが、これよりさき二三年一〇月に農林省農政局において農業政策大綱が作られた。人口の増加に伴ない食糧の不足が逐年増加しないようにするためには土地改良や資材の確保等生産の基本的条件を整えるいっぽう、農業経営の内容を改善し、農家経済の安定と、やがて来るべき国際競争に堪え得る態勢作りが考えられたのである。つづいて二四年五月、衆議院本会議に於て食糧増産確保基本法案が出された。
 その骨子も、農地の開発・災害復旧・土地改良を政府自ら行うもの、或は民間事業に対して助成し我が国食糧の自給度の向上と、いも類の利用増進のための必要な施設について政府の義務を規定し、さらに生産をはばむ陰樹伐採も市町村農業調整委員会の権限に委ねるべしとしたものであった。陰樹即ちかげ切りは流産したが、その他は実行される運びとなった。
 以上は一例であるが、生産の増強は土地改良に負う所が大であるとする政府の考え方は一貫していた。こうして土地改良法の施行を見たものである。この法律では、農用地の改良や開発保全と集団化を円滑に実施する。そのために生産基盤を整備し、農業の生産性の向上と農業総生産の増大、及び農業生産の選択的拡大及び農業構造の改善のため、農業用排水施設・農業用道路・農用地の保全または利用上の施設・管理・廃止または変更をする。さらにそれらを効果的にするための関連施策、すなわち区画整理・農用地の造成・埋立または干拓・容土暗渠排水・床締等に国は助成措置を行うか、或は国自らの手で行うこととしたものであった。
 なおこの土地改良事業の施行主体は国・県・市町村・農業協同組合・土地改良区・受益者数人による共同施行等であったが、この法律の施行によって従来の耕地整理法は廃止された。
 本村のような財政的弱小村はこうした国の施策を利して事業を実施する外ない。ではこの村はどの様な土地改良事業を行ったであろうか。以下順を追って記述する事としたい。
 団体営土地改良事業 これは国庫補助を受けて実施するもので農地の関係受益面積おおむね一〇㌶以上(以前は一般二〇㌶、急傾斜地域一四㌶以上)の地区を対象として行う事業で、補助率は五〇%から六〇%のものがある。
 県単独土地改良事業 県の補助金を受けて実施する事業で関係する農地面積がおおむね五㌶以上の地区を対象に行うもので、補助率は四〇%から五〇%のものかある。年度別事業内訳は別表のとおりであるが、特に前記補助率より低いものの中には補助対象外の事業費が含まれている点と、村補助金の中には昭和四〇年来本村が起した辺地債過疎債が含まれていることを付言しておきたい。

団体営土地改良事業

団体営土地改良事業


県単独土地改良事業 1

県単独土地改良事業 1


県単独土地改良事業 2

県単独土地改良事業 2