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美川村二十年誌

二、国土調査法の成立と目的

狭い国土に過密な人口を擁するわが国において、国土の利用の高度化によって、経済の再建を図ろうとする論議が、第二次世界大戦(昭和一六年一二月八日~昭和二〇年八月一五日)直後、有識者の間で行なわれ、昭和二二年経済安定本部に設置された資源委員会に土地調査部会の組識が確立されて、土地調査に関する研究が進められた。こえて昭和二五年五月一〇日には、経済安定本部に土地調査準備会が設置された。この準備会において国土調査の実施に必要な準備調査が行なわれ、昭和二六年三月、第一〇国会に「国土調査法案」が上程され、同年六月一日法律第八〇号をもって国土調査法が制定されるにいたったのである。国土調査は、国土の基礎調査であり、基本調査・地籍調査・土地分類調査及び水調査に分類される。このうち基本調査は地籍調衣のための基準点の測量、土地分類調査のための地形・地質・土壌の概況調査、水調査のための観測地点の選点である。地籍調査は土地の境界・面積・所有者・地目・地番の調査であり、土地分類調査は土地の利川現況・自然的要素・生産力の調査であり、水調査は雨量・流量・水質・流砂状況・水利の調査である。国土調査の目的は、これらの調査を総合的に行ない、国土の自然的な実態を科学的に明らかにし、国土をより高度に、かつ合理的に利用するための基礎資料を整備することにある。国土調査のうち、まず事業化されたのは地籍調査である。しかしながら三七年までの全国の事業の実績は遅々として進捗を見るに至らず、国土調査の画期的推進を図ることが現下の急務であるとする社団法人全国国土調査協会の請願に基づき昭和三七年四月第四〇国会に、自民・社会・民社各党共同提案による「国土調査促進特別措置法案」が上程され、同年五月法律第一四三号をもって、国土調査促進特別措置法が制定された。
 この特別措置法に基づき、昭和三八年五月国土調査事業一〇ヶ年計画が閣議決定を見、三八年度以降の一〇ヶ年間に四万二,〇〇〇平方㌔の地籍調査を実施する計画が決定されたが、このうち愛媛県分は一,八八〇平方㌔で全国の四・五%であるが、美川村には当時実施計画はなく、右には含まれていなかった。