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美川村二十年誌

一、美川村診療所

 過疎と老令化現象の中で住民の最も大きな不安の一つは医療の問題である。美川村においても将来を想い、医療福祉対策の一環として慎重に検討を重ねていたが四七年、地域住民からの強い要望もあり、機は熟しつつあった。村長はじめ理事者は東奔西走し、村議会においても専門委員会を二度、三度と開催、審議を重ねた結果、同年七月の臨時村議会で美川村診療所の設置について全面的な賛同を得、議決されたのである。
 村においては地所の選定や医師の確保など数多くの問題をかかえていたが、建築場所については交通の便など諸般の事情を考慮し村の中央に位置する御三戸(久万農協御三戸支所前)に適当な用地を購入、四七年九月敷地造成工事も総事業費二二〇万円で久万町沼田建設(沼田建男)の手で着工、突貫工事で一〇月完成した。医師についても村理事者と議会の合議の結果、医学博士棟田睦男医師(元久万町宇都宮病院勤務)を招へいすることに決定、事前の準備は着々と進められたのである。四七年度事業として完成するという目標であり、同年一〇月三日建物についても県特定地域振興対策貸付事業の資金一、五〇〇万円を借り入れ、本工事費一、七九〇万円で松山市長岡建設(長岡嵩)に請負わせ着工した。現地が地すべり地域の指定を受けていたことから、その建築許可申請するなど県及び関係者の協力のもとで診療所建築工事は順調に進み四八年三月、コロニアル葺二階建、総床面積三五六平方㍍(約一〇八坪)で冷暖房完備し、重症患者のための入院室、レントゲン室、給食室なども完備した近代的な建物が完成した。
 四八年四月、県下でもめずらしいといわれる美川方式をとり、医療器具については医師の持ち込みとし、運営については医師に一任するというシステムで診療を開始したが、当初の目的どおり利用度も高く、現在美川村の二三%程度の患者が診療を受けている。
  診療科目 内科・小児科
  医  師 一名、棟田睦男
  従 業 員 看護婦七名、事務職員四名、給食婦二名
  社会保障関係による診療 国保・健保共済・結核予防・活医療保護
  病  床 六床