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美川村二十年誌

一、岩屋寺

 岩屋寺は美川村大字七鳥にあり、久万町の古岩屋に隣接している。礫岩数峰が聳え立ち、その絶壁のいたる処に洞窟がある。礫岩峰の頂上には老松が茂り、イワヒバ・セキコク・ツタ等の植物が群生している。参道をはさむ老杉の中にたちこめる朝霧はさながら大海を望むごとくである。当寺は弘仁六年(八一五)、弘法大師の開基と伝えられ、四国霊場四五番の札所として四国巡拝の遍路および信心深い善男善女の参詣者が後を絶たない。高さ数十㍍におよぶ奇岩が青空に屹立するたたずまいは、自然のつくりだす芸術の偉大さを感じさせる。原生林と礫岩峰の調和のとれた景勝は見事であり、昭和一九年に文部省から名勝地に指定され、また三九年に県立自然公園に指定されている。遍照閣が昭和三八年に建設されて夏期は研修など多くの人に利用されている。山門から本堂までの遊歩道(整備費二四六万円)は昭和四七年に整備されたが、県道から山門までの歩道も四九年に整備される計画である。現在久万町が古岩屋を中心とした開発をすすめているが、これからの施設が完成すれば岩屋寺の景観は、さらに観光資源としての価値を高めるであろう。