データベース『えひめの記憶』
美川村二十年誌
五、葬 式
この村はほとんどが浄土宗である。葬式は古くからのしきたりで行われる。死人があると部落の長老に世話かたをお願いする。世話方は葬式全般のさい配を振うのである。貼り方(棺桶をのせる輿台を金銀紙で張る)・墓穴掘り方(棺桶をうめる穴掘り役)、持ち方(死者の近親者より、位牌・香箱・しかけ花・まくらい・鳴り物などの持ち役)などの役を組の人や近親者に指名する。又、出棺の時は、鳴り物(銅羅・叩鉦・妙八)を打ち鳴らして、参列者は大声で送り念仏の「ナーンマイ・ダンボー」を繰り返し唱えながら野辺の送りをする。
昭和一〇年ぐらいまでは葬式に参列する人は、とうきび一升と一銭を受付けに渡し、墓から帰ると、「とき」といって「かゆ」のふるまいをうけて帰る。
葬式が終ると、「あと法事」といって近親者・世話役・組の人は精進料理を受ける。食事が終わると歌念仏の「ナムアミダブツ」を、前半分とあと半分の二組に分かれて二〇分ぐらい唱えるのである。この念仏は現在もおこなわれている。