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美川村二十年誌

五、盗人岩

 二箆山の土佐街道を猿楽から西方へ七〇〇㍍ほど尾根づたいに行くと、うば窪というところがある。ここはふるくから雨乞いの場所で知られ、山の神様が祭られている。そのお堂から六〇㍍ほど手前のところに高さ二㍍、周囲一二㍍余りの、餅の形をした岩がある。この岩を「盗人岩」という。
 むかし、七人の悪党が金を盗み、ここまできた。もう追手もこないし、つかれたので、ひと休みをしようと腰をおろした。
 盗みを知った石鎚の神様は大へんいかり、石鎚山頂の大石を投げつけて、七人を下敷にしてしまった。岩の上にお金をのせて、岩を三回まわると、置いたはずのお金はなくなってしまうといわれている。
 この地点から石鎚山は一望のうちにあり、盗岩の石は石鎚山の岩と同種のものであるという。(西田金次談)