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柳谷村誌

第一節 村長制度期の政治特質

一 地方自治体であること。

 村長制度期の政治特質は、地方自治体制であると言えよう。さきの戸長制度期、庄尾制度期いずれも、区あるいは町村等と呼ぶ地域区画を具えてはいた。しかしすべての行動は、すべて幕藩あるいは中央政府ないしその出先機関の意志に全く依存していた。生きる意志をもたない体躯のみ具えた生物体に等しかった。だが村長制度期の村は、曲りなりにも生きる自己の意志をもつ生命体である。自活体である。村長部局の執行機能と、議会構成の議事機能の整合ベースの上に、その自治機能を実現してゆく生命体である。地方自治体と名づけられる所以である。

二 自治のルールに基づく行政活動である。

 地方自治体と呼ばれる村は、統一国家の部分位を構成する単位であるから、その行動は恣意はゆるされず、一定のルールに基づいて行政活動をせねばならない。そのルールとしての大綱は、明治二一(一八八八)年四月二五日制定公布、二二(一八八九)年四月一日施行の町村制と、昭和二二(一九四七)年四月制定公布、翌五月三日施行の地方自治法である。この二つの法制が一つの改正を経過して施行されていることには地方自治制定の発展充実に即応した変更措置であって、自治体そのものの実体変異によるところのものではない。わが国の自治体の発展充実は国力の増進に即応して堅実に進展して今日に至ったのである。