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柳谷村誌

第一節 飲用水

 わが村の自然は、急な地肌・深い土壌・密な谷川網・広い森林・それらに培われて、清浄で豊富な水を自生産する。人々は自然の落差だけを活かして、竹筧・木樋で飲み水を工面して来た。この竹筧・木樋の生活は、ずいぶん永くつづいてきたようである。戦後、柔軟耐久性のビニールホースが、忽然と市場に現われた。山里の飲み水導入は、ビニールホースの出現で、一挙に便利さを加え、面目一新の思いをもたらした。
 しかし、産業経済振興施策が、過疎化するわが村にも強力に打ち出される。農林漁畜各分野に亘って、基盤整備と構造改善の諸事業が計画されていく。そしてそれらの事業展開の最たるものとして、道路網の開設が急速度に進められた。村の地肌の様相が一変していく。しかも開発が、従来からの集落飲用水源地に当たる、高地・奥地に迄進んでゆく。道路開設によって、道路排水と残土が飲用水源地に流入して、水質汚濁の因となるに至ったのである
 ここにおいて村行政は、村の将来の生活予測に立って、村民の生活に、清浄で豊富で低廉な水を供給し、公衆衛生の向上と、生活環境の改善を目途とする簡易水道事業の策定を決定したのである。昭和三八(一九六三)年四月一日条例第六号を以て公布施行された、柳谷村上水道事業給水条例が村民飲用水供給事業の道標である。逐年本条例の展開による村内各集落等の上水道整備のあとを図表 柳谷村水道事業一覧表に示す。

柳谷村水道事業一覧表

柳谷村水道事業一覧表