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柳谷村誌

二 家の屋根

 茅ぶき屋根 

 昔の家は全部茅ぶきだった。茅ぶきの屋根は、夏は涼しく冬は暖かである。ユルリで火をたくので、三〇年くらいはもつといわれる。ただし、その間に棟の部分の押えの竹がくさるので、七、八年で棟はふきかえをしなければならなかった。屋根のふき替えは、各部落に共同の茅場があって、屋根講やこうろくによって行われていた(第三章講参照)。

 瓦屋根 

 明治の中期から、瓦が出現したけれども、交通の不便な我が村あたりでは、明治末期になっても、瓦屋根は数軒こそなかったという。昭和初期になって、杉皮ぶきが多くなり、それが次第にトタンぶきへと変って行った。そのころから、杉・桧の植林がすすめられて茅も次第に少なくなり、また火災に対する用心のためにも、人々は瓦屋根を望んだけれども、経済的になかなか容易なものではなかった。そのころから、瓦講がぼつぼつ生れたようである。戦後においては、新築はもちろん、茅屋根も小屋下げされて、日本瓦や、各種スレートなどにふき替えられた。現在では、村でも茅屋根はほとんど見られず、茅屋根を鉄板で包んだ家が数えるほどあるだけになった。