データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

柳谷村誌

一 婚約

 通婚圏 

 昔は時代がさかのぼるほど、経済的、社会的、政治的に独立性、封鎖性が強くて、近親婚、村内婚が多数を占めていた。交通が不便であって、ほかの村のことはよくわからない時代、素性のわからぬものは嫁にもらわないといって、村外婚を嫌ったものである。しかし、我が村では地域的に交流の深かった隣接村(現在の美川・仁淀・梼原・東津野)の一部は通婚圏となっていた。

 結婚観 

 昔は結婚は家本意の考え方が強く、家柄・血統・相性などがやかましくいわれ、自由な結婚は許されなかった。子供が年ごろになると、親は知人に相談し嫁の世話を頼んでおく。知人が見合いをすすめる。親同志、本人同志気に入れば婚約の運びとなる。

 すみ酒 

 知人は仲人になって、正式申入れの使いをする。仲人は酒を抱えて行き、娘をもらうことを告げ、酒一升を渡し、それを飲むことによって婚約は成立するのである。すみ酒、または、たのめの酒ともいった。
 この日に、結納や結婚式の日取りを決めることが多かった。結納は、普通、この婚約から一か月後くらいに行われた。すみ酒から結納までの間が、あまり長すぎると「水が入る」といってきらっていた。

 結 納 

 選ばれた吉日、結納の日は、仲人は嫁方へ、結納の品として、帯や着物、酒肴などを持参した。今日ではこれらの品物も、結納金と酒肴料にかわり、婚約と同時に女へエンゲージリングが贈られることが多くなった。結納金については、仲人が婿方と相談し、嫁方へ「カエシコナシ」というと、結納返しの必要はないが、それがない場合は、結納金の全額、または半額程度を、袴料として返されている。