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柳谷村誌

三 仏事

 服 喪 

 死者があってから四九日間を、普通、喪に服する期間とし、家で喜びごとはせず、神祭りもしない。またその翌年は正月の年賀行事も遠慮する。四九日の法事が終るまで、位牌は仏壇に入れず、仏壇の下に台を置いてその上にまつる。

 タンヤ 

 四九日までは水を供え、線香は一本を立てる。四九日まで七日ごとに、ヒトナノカ、フタナノカ、ヒトタンヤ、フタタンヤと呼ぶ。四九日までは、毎晩、墓の燈籠に火をともした。七日ごとのタンヤには、近親者が集まり、念仏をとなえ、また墓参りをする。このとき塔婆を一本ずつ持って行って墓に立てる。

 シジュウク 

 四九日の法事をシジュウクといい、オッサンを迎えて行う。このとき四九餅、または、オモリモノをつくる。四九餅とは、一升餅をつき、これを四九箇に丸めたもの、これを供えて、法事に来た人たちに食べてもらう。シジュウクの法事も、最近は、遠方の親戚の関係などから、葬儀の翌日にする家もあり、また四九日より早く、ミナノカ(二一日)、イツナノカ(三五日)あたりにすることが多くなった。この日、死者が生前使っていた衣類や持ち物などを、形身分けといって近親者に分けた。

 アラボン 

 初盆をアラボン、ニイボンともいう。盆月の一日、昔は旧暦の七月一日でこれを七月入りと呼び、その日は、ハタオコシをする。白木綿で六尺に二尺の両袖をつけて、人の形をした旗をつくり、お寺で文字を入れてもらって立てる。この旗は、この月中立てられ、あわせて盆提灯を吊るし供養する。ハタオコシには親類も集る。

 カンニチ 

 仏の正月をカンニチ、あるいはミウマという。この日は新仏が年をとる正月だといわれる。
 一二月の最初の巳・馬の日(柳井川・中津)、辰・巳の日(西谷)である。親類が集まってカンニチ餅をつく。一升餅をつきこれを大餅といった。その日は朝早く、カラスが鳴かないうちに、墓に大餅を持って行く。これは、野辺の送りの時のモチカタをした者が持って行くものだという。墓には、松の代わりに柿の木を二本立て、左縄にしたシメナワに、白色のワカバをつけたものをお飾りした。ワラで火をたいて大餅を焼き、包丁で角に切って少し食べて持って帰り、小さく切って、親戚やお悔みをもらったところへ配る餅へ入れた。カンニチ餅は普通の餅より大きく、これを一〇個か一二個ずつ包んで配った。

 年 忌 

 年忌は、翌年のムカワレ・三年・七年・一三年・一七年・二五年・三三年・五〇年とある。各年忌には、法要を営み塔婆を立てて供養する。