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柳谷村誌

四 踊り唄

 (一) 盆踊り唄
 ハァ 盆はナ(ヨイサ) 盆は嬉しや別れた人も
 (アラセヨホホイ)
 晴れてこの世ヘハア会いに来る
 ハァ 昔しナ(ヨイサ) 昔ばなしについ夜も更けて
 (アラセヨホホイ)
 月もかたぶくハア西の空
 ハァ 踊るナ(ヨイサ) 踊る手ぶりにみとれて月を
 (アラセヨホホイ)
 憎や雲めがハア邪魔をする
 ハァ どんとな(ヨイサ) どんと叩いた太鼓の音に
 (アラセヨホホイ)
 あの世この世のハア戸が開く
 ハァ りんねナ(ヨイサ) りんねはなれて気も軽るがると
 (アラセヨホホイ)
 まわる踊りのハア輪のまるさ
 ハァ 揃たな(ヨイサ) 揃た揃たよ皆手が揃た
 (アラセヨホホイ)
 稲の穂のようにハアよく揃た
 ハァ 心ナ(ヨイサ) 心揃えば手振りも揃う
 (アラセヨホホイ)
 お月様さえハア笑いがほ
 ハァ 歌いナ(ヨイサ) 歌いましょうよ声はり上げて
 (アラセヨホホイ)
 国の栄えが身の栄え
 ハァ 足のナ(ヨイサ) 足の軽さよこの気の軽さ
 (アラセヨホホイ)
 田植えすましたハア戻り道
 (二) 盆踊り唄
年に一度のこの盆おどり (ソレキタ ドッコイショ)
なんのはずしてなるものか 今夜がくるのを 今夜がくるのを
待っていた 待っていた (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 響く太鼓にみなさそわれて (ソレキタ ドッコイショ)
 きたよきました盆踊り くれば手足が くれば手足が
 すぐはずむ すぐはずむ (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 おじごおばごに姉娘に若衆 (ソレキタ ドッコイショ)
 しなよく踊るがよい娘 なんではずかし なんではずかし
 むこと嫁 むこと嫁 (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 月になりたや今宵の月に (ソレキタ ドッコイショ)
 可愛いあの娘がよく見える 空の上から 空の上から
 よく見える よく見える (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 いとしお方と揃うて踊る (ソレキタ ドッコイショ)
 極楽村から母様も にこりにこにこ にこりにこにこ
 見てござる 見てござる (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 なすの紫きうりの緑り (ソレキタ ドッコイショ)
 何をそなえましよ赤いもの あたしの真心 あたしの真心
 ちょっと添える ちょっと添える (ソレソレソラ ソレキタ ドッコイショ)
 (三) 名荷踊り唄
   ○三ツ拍子
 (ア ヨーイ ヨーイヨーイヤナ)
 あ 東西や 東西南北ご免なれ これより東やまだ東
 所申せば肥後の国 大蔵の娘で名がおはん
 おはんの器量と申するは ものにたとえて云うなれば
 立てばしゃくやく座ればぼたん 歩く姿は百合の花
 それほど良い娘に生れしも 四百四病の病より
 貧ほど悲しきことはない 泡と消え行く信濃屋へ
 みずし奉公と入れられて 奉公のきめが五年半
 おはんは毎日勤めする 宿の息子の名が義之丞
 そこで義之丞に見染められ 十七八の初器量で
 馴染重なりや身が重る そこで義之丞の心が変り
 おはんおはんと呼びいだす 何か御用でござんすか
 ほかの事では無いおはん 明けて来春早々に
 商の都合で上方へ いつ戻るかほど知れん
 おはん暇やるいんでくれ わたしいぬのは安けれど
 お腹に義之丞さんのややがいる 先を申せばまだ長い
 ここでとめおくご免なれ
   ○ひけは
 (ア ヨーイヨーイヨーイヤナ)
 やれ東西やひけは踊りとはよかかれ
 私 夫は美濃国 綿商売をおもとして
 真綿千丸買いそろえ 木綿千丸買いそろえ
 真綿木綿で二千丸 そのような綿と申するは
 中国おもてに舟に積み 綿の問屋に乗りこんで
 値段相場を聞き合わす そろばん持たずの胸算用
 とんとその綿売りとばす 胸のそろばんちと違うて
 お主の金おばちと使い これでは国へは帰られん
 国へ帰って親方に 勘定がたたねば殺される
 一人死ぬのは安けれど 一人で死んだら犬死よ
 二人で死んだら心中よと 帳やそろばん肩にかけ
 かたわら屋へと急がれる 小千代やお竹を相手とり
   ○くりあげ
 (ア ヤートコセーヨーイヤナ)
 国はヨホホ中国長戸の国に  関にや千間ヨー並びはないか
 並はヨホホあるあるけきよ屋もござる  けきよ屋娘のその名が小杉
 年はヨホホ十八小柄な女  下女をひきつれお寺に参りゃ
 寺のヨホホ御門で坊さんを見染め  見染め逢い染め早恋となる
 下女をヨホホひきつれわが家に帰り  二階座敷の北窓開けて
 すずりヨホホ取り出しジャコウ墨を  とろりとろりと墨すりながし
 しかのヨホホまさ筆とろりとかんで  紙はよい紙奉書の紙へ
 思うヨホホ文句をすらすら書いた  書くは書いたよ七ひろ八ひろ
 紙にヨホホ封して上書きなさる  上に書いたは丹尚寺様へ
 下にヨホホ書いたはけきょ屋の娘  文はできたがやるてがない
 文のヨホホ使いは誰ぞと問えば  お寺戻りの寺衆や下人
 寺のヨホホ下人が情もちなさる  扇子小骨に文さしのせて
 お尚ヨホホさまにと文さしいだす  お尚手にとり拝見なさる
 いかにヨホホ良く書く女の手すい  恋の事には相違はないと
 丸木ヨホホ橋よと一筆書いて  すぐにその文小杉に戻す
 小杉ヨホホ手にとりよくよく見れば  丸木橋かや文返されて
 丸木ヨホホ橋とはわしゃ思わねど  致しかたなし落さにゃならん
 恋でヨホホ落ちねば命で落す  ねこも通わぬお尚の寝間で
 お尚ヨホホお尚と二声三声  お尚驚きすぐ目をさます
 聞けばヨホホ女の呼ぶ声がする  七つ八つから習うたお経
 許しちゃヨホホならぬと  手にじゅずかけてならぬ
 ならぬとお経を唱え
   ○いよこ
 (ア エイエイサッサ エイサッサ)
 ア東西やエイサいよこ踊りと
 早よかかれ (ア エイエイサッサ エイサッサ)
 ここで文句にかかるなら 伊予で松山たばこ山
 たばこ山にて官区わり 官区伜のお千代と八兵衛
 お千代の妹の名がお浜 お浜の病気と申するは
 ヘーもに抱瘡に猖癇で 三つの病気のたたかいぞ
 お浜が死んで今日七日 二人の親さん墓参り
 後に残りしお千代と八兵衛 お千代は奥の間で真綿とり
 八兵衛は玄関で三味げいこ 三味のけいこもさておいて
 お千代お千代と呼びいだし 何か御用でござんすか
 ほかなることではないお千代 四国西国たずねても
 お千代のような器量はない ものにたとえて言うなれば
 ぼたんの花の咲きかけに 露を受けたる如くなり
 一夜はお千代ねやお千代 何を言わんす兄さんよ
 私には夫がござんすえ 夜の夜中の丑の刻
 裏のみかんの木の下で 上から下への白無垢が
 それを殺してもらえたら 落ちるに落ちないこともない
 そこで八兵衛は喜んで その日の暮れを待ちかねる
 先を申せばほど長い ここでとめおく御免なれ
   ○つまたたき
 東西南北ごめんなれ
  つまたたき踊りにすぐかかる  国は讃州や金毘羅の
  なかのごおりは象頭山
 小坂下り下り右手の
  御参の前の花立に 枯れた竹には芽子が出る
  枯れたしきびに花が咲く
 参る下戸衆が申すには
  どうで一夜のげじもある お山のげじか内げじか
  またはお家の災難か
 手前よろしく暮せども
  何の因果か子がのうて これより東の高松の
  大黒屋と言うて名も高い
 代々伝わる古て屋の
  二番息子の名が正次 乳母の養子と貰われて
  蝶よ花よと育てられ
 育てられて十五まで
  寺子屋通いをするうちに 石田屋お礼とかかりあい
  お礼にもろたるちぎり文
 茶屋の風呂場でつい落し
  げんざい乳母に拾われて 正次正次と呼びつける
  何か御用でござんすか
 ほかの事ではない正次
  石田屋通いをするそうな 石田屋子孫と申するは
  人に言えない子孫なり
 石田通いをやめんなく
  乳母の養子は出て行けと 乳母の所は出てなりと
  はなれまいぞえ正次さん
   ○ねずみのくぜつ
 棚のねずみのくぜつを聞けば  アヨーオイセー ソーコセー
 わたしは大黒様のお使いで 棚の上やら棚の下
 暗い所で子をかやし 食わす物がないゆえに
 たんす おけ はちかじります そうすりゃねこめに見つけられ
 逃げよりゃいたちにおわえられ じごく落しのますこぶて
 それほどわたしがにくいなら 十二の干支になぜ入れた
 イヤコリャコリャ ヤートコセーノ ヨイヤナー
   ○嫁入り
 娘十八は嫁入り盛り たんすや 長持 はさみ箱
 揃えて持たせてやるからにゃ 二度とあとには戻るなよ
 ととさん かかさん そりゃむりよ 云いわけするではないけれど
 西が曇れば雨とやら 東が曇れば風とやら
 千石積んだ舟でさえ 追風変れば出て戻る
   ○せんす
 おしょのお庭でせんすを拾うた せんすはめでたいわいと
 足でけり上げて 手にとりて 開いて見たなら高松の
 千両箱の重ね積み めざしのお鶴が舞い遊ぶ
 扇はめでたい末繁盛
 (四) 花取り踊り唄(柳井川本村)
柳井川土居のおもてを 流れる水は良い酒
 住りたいは久主よ休場よ まだ住りたいは柳井川
 松木ご城下よ永野で目戸よ