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柳谷村誌

三 呪術

 ① 民間医療法

 (ア)薬物に関するもの

 切傷にフキをつぶしてつけるとなおる。
 ヤケドにはアロエ。
 ヨモギ・フキは血どめとなる。
 腹くだしにはウツゲの木をかむ。
 カンの虫には柳の木にいる虫を食べさせる。
 ハメ焼酎はどんな病気にもきく。
 竜王さんに祀ったものを食べると夏病みしない。
 熱さましには白南天
 黒豆は咳にきく。
 イボには山コンニャクの汁がよい。
 鼻血が出たら首ねっこの毛をぬくとよい。
 赤ん坊にはまずフキの汁を飲ます。バイキンを殺す。
 食あたりをした時は、足の小指の外側にヤイトをすえるとよい。
 しびれにはつばを頭につけるとよい。
 タヌキの骨や肉は傷にきく。
 カンノ虫にはヤイトを背中の大きな骨の下のくぼみにすえるとよくきく。
 火傷にはメリケンコをぬる。
 ハゼ・ウルシ負けにはカニを布で丸めてつぶしてその汁をつける。
 大ケガには猿の頭のシオカラがよくきく。
 ミミズのほしたのは熱さましによくきく。
 火傷にはキュウリの汁。
 冬至の日にかぼちゃを食べると痛風にかからない。
 風邪をひいた時には里モジの木の皮とカンゾウを混ぜて飲むとよい。
 シャクナゲは虫よけになる。
 イチジクの白い葉の汁をつけたらイボがとれる。

 (イ)まじないによるもの

災難が直前にせまっている時、「三月三日の桃の花、五月五日のヤキショウガ、
九月九日の菊の花、いただいておるぞよアビラオンゲンソアカ」というと災難を
免がれることができる。
魚の骨がノドにかかったとき、「天竺の龍三川のタイの骨、七瀬落ちる間に早ぬ
 けた」というとよい。
 目にゴミがはいったとき、「天竺の白き山のオゴロモチ(モグラ)目もの入りた
 りアビラオンゲンソアカ」といってふくとゴミがとれる。
 ホロセがでたらお地蔵さんを拝む。
 火事の夢をみたら家の四角に水をかける。
 「カラス鳴く、ヨイスの神の使いかや」というまじないをとなえると、その人に
 災難がかかるのが除かれる。
 「ハメにコショウ(傷がついたこと)オドロの下にカギワラビ」ととなえるとハ
 メにかまれない。
 「ニニンが四、シニが八」というと血が止まる。
 歯痛には「伊勢の庭の黒タンの木に虫があっても菜を食わぬ」というとよい。
 赤ちゃんのカン虫には手のひらに筆で字を書いて握らせて開いたら、指先から白
 毛みたいな虫が出てくる。
 火傷したとき、「天竺のサルサの川に大蛇がおぼれ死にその水をくみかえ、かけ
 かえすれば、ウミうみず、ふくれず、あとつかずアブラオンゲンソアカ」と三回
 いうとよい。
 赤ん坊が夜泣きするとき「シノタノモリの白ギツネ。昼は泣いても夜は鳴くな」
 と三回いうとよい。
 乳歯が抜けたとき上の歯は床の下に投げ「ねずみの歯より早う生え」下歯は屋根
 へ投げ「すずめの歯より早う生えと」となえる。

 ② その他に関するもの

 (ア)雨 乞

山伏が音頭をとり、「テンジクテンの竜王はアーメ(雨)をたもれりリュウグン
ドウ」と念仏をとなえながら部落のみんなが竜ノ川におり、大きな松の木のそば
の竜王という石の下で拝む。
八釜の龍王様へ村の男達がお参りし、三、四回拝んでも、雨が降らないときは、
ひもをつけた釜を渕の中へ入れ、雨が降ってきたらそれを引き上げる。
 (イ)虫送り・虫供養
ヨネブツといい、盆の一七日に地蔵さんのお祭りをする。お寺で書いてもらった
旗を笹のついた竹につるして、夕方、鉦や太鼓をたたき念仏をとなえながら仁淀
川に下りて行き旗を川に流す。
部落のみんなが米一合の持ち寄りでお堂に集まる。おかゆをたいて、実盛さまに
供え、馴れた古老が音頭をとって、鉦と太鼓に合せて念仏「ナーマーイダーア、
ア、ナーマイダー、ナアマイダーブツナーマイダ」と繰返す。朝から夕方までつ
づける。一回ごとにつばきの葉を一枚ずつおいて回数をかぞえる。つばきの葉は
持って帰って竹にはさんで畑に立てる。
 (ウ)願かけ及びその他
大黒柱の下にお金を入れると「大黒柱に余裕の金がある」といってその家は栄える。
子供をさずかりたい時、子安地蔵に参るとよい。
年まわりが悪い時、お薬師さんにお参りするとよい。

付 俚諺

暑さ寒さも彼岸まで。
 桃栗三年柿八年。
瓜のつるにはなすびはならん。
桜切る馬鹿梅切らん馬鹿。
犬は三日飼えば三年恩を忘れん。
猫は三年飼っても三日こそ恩を覚えてない。
大取りより小取り。
オンビキ飛んでも休みが長い。
のらの節句働き。
紺屋の白袴。
器用貧乏村宝。
彼岸過ぎての麦の肥。
遠くの親類より近くの他人。
義理と褌かかねばならん。
馬鹿は風も引かん。
馬鹿の三杯汁。
両方よいのは頬かぶり。
うまいものは宵に食え。
雀百まで踊り忘れん。
男やもめにうじがわき、女やもめにゃ花が咲く。
うそは盗人のはじまり。
火の無い所に煙は立たん。
亀の甲より年の却。
若い時の苦労は買うてもせよ。
ウドの大木杖にもならん。
人のうわさも七五日。
火を見たら火事と思え、人を見たら盗人と思え。
親の意見と茄子の花は千に一つのあだがない。
茶ばらも一とき。
無い子にゃ泣かん。
雨降って地固る。
出る釘は叩かれる。
内の米の飯より隣の雑炊。
寝る子はふとる。
仰向いて唾を吐く。
赤子の手をねじる。
商は牛のようだれ。
虻蜂とらず。
有りそうでないのが金。
一を聞いて十を知る。
命の洗濯。
 いやで幸いすかれちゃ困る。
色気より食い気。
言わぬが花。
牛は牛連れ馬は馬連れ。
氏よりそだち。
生みの親より育ての親。
遠慮ひだるし伊達寒し。
思い立ったが吉日。
鎌を褌にかく。
壁のそくたいは泥でせよ。
枯木も山のにぎわい。
兄弟は他人のはじまり。
金銭に親子なし。
過は不足の元。
果報は寝て待て。
下戸の建てた蔵がない。
けつのすがせまい。
乞食三日すりゃ止められぬ。
算用合って銭足らず。
智恵と道具はいる時使え。
仲裁は時の氏神。
ちょっと来いに油断すな。
角を矯めて牛を殺す。
処かわれば品かおる。
取らぬ狸の皮算用。
ない袖は振れぬ。
なる程ちぎる秋茄子。
人の事云えばござ敷け。
貧すりや鈍する。
三つ子の心百まで。
味噌汁が頭へ上る。
物は言いようで角が立つ。
物言えば唇寒し秋の風。
山の峠で日を見るな。
雪は豊年の貢ぎ物。
弱り目に崇り目。
利は元にあり元は腕にあり。
類をもって集る。
やけのやん八日やけの知子。
瓜で火を灯す。
捨てる神あれば拾う神あり。
一に看病二に薬。
往きがけの駄賃。
石車と口車に乗るな。