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西条市

高橋貞次(1902~1968)

 刀匠。新居郡大町村(現、西条市)出身。本名は金市。刀匠となった兄・徳太郎の影響で、大正6(1917)年、大阪の刀匠・月山貞一(がっさんさだいち)・貞勝に入門、修業したのち東京の中央刀剣会の養成工に採用され、21歳で修業を終えた。
 昭和5(1930)年、松山市千舟町に居を移し、昭和11(1936)年には松山市石手に刀剣制作の鍛錬場を開き、本格的に制作活動を開始、特に刀身に彫刻を彫る技では他社の追随を許さず、昭和13(1938)年、第1回刀剣展で内閣総理大臣賞を受賞、昭和15(1940)年には鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)の御神宝刀(おんしんほうとう)の制作をするなど、輝かしい業績を残した。
 しかし、昭和20(1945)年の太平洋戦争終戦後、占領軍が禁刀令を発し刀剣制作を禁じた。刀剣研究家であった文学博士・本間順治は、美術品としての日本刀を認めてもらうよう奔走したが、その運動の一環として貞次は、アメリカ軍司令官のウォーカー中将に自作の短刀を贈るなど刀剣の保存運動に尽力した。
 昭和29(1954)年、第1回新作美術刀剣展で特選第一席を獲得、翌年、刀匠として初めて人間国宝に認定された。(『愛媛人物博物館~人物博物館展示の愛媛の偉人たち~』より)

【追記】
 髙橋貞次墓所:金剛院(西条市福武、八堂山上り口付近)

①鍛錬場跡

①鍛錬場跡

松山市石手5-7-1(現在は取り壊されている)

②鶴岡八幡宮(御神宝刀を奉納)

②鶴岡八幡宮(御神宝刀を奉納)

神奈川県鎌倉市雪ノ下2丁目1-31