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伊方町

佐々木長治〔馨〕(1894~1970)

 実業家。豫州銀行などの頭取で県政財界の中心人物であった。衆議院議員・貴族院多額納税者議員になり、戦後は県政界の重鎮であった。明治27年2月10日、西宇和郡伊方村(現伊方町)に生まれた。父長治(高二郎)は立志伝中の実業家・社会事業家として知られた。宇和島中学校を経て大正5年東京高等商業学校(現一橋大学)を卒業、亡父の名を継ぎ、西南銀行(伊方村)頭取を最初に第二十九銀行(川之石町)、豫州銀行(八幡浜市)、伊予貯蓄銀行(松山市)の頭取を歴任、南予地方の銀行をまとめて伊豫合同銀行への橋渡しをした。大正13年5月の第15回衆議院議員選挙に第6区から政友会公認で立候補、憲政会の卯之町銀行頭取本多真喜雄と一騎打ちを演じ、わずか12票差で辛勝して当選した。次の昭和3年2月の第16回衆選挙で再選されたが、5年2月の選挙には実業に専念するため立たなかった。14年9月には貴族院多額納税者議員に選ばれ、22年5月まで在職した。この間、昭和15年9月~16年7月の短期間であったが、八幡浜市長を引き受け、食糧増産対策の推進に努力を払い、後任に野本吉兵衛を推挙して市政を引き継いだ。戦後の政界再編成で結成された愛媛民主党の代表者に推され、26年4月の県知事選に出馬して青木垂臣・久松定武と三つ巴の選挙戦を演じたが久松に敗れた。30年1月の県知事選にも再出馬の動きを示したが、県政界が久松再選支持に傾いているのを察して取り止め、これを機に政界を引退した。父の残した育英事業に尽くし、県商工経済会議会頭・県公安委員会委員長など数多くの要職についた。昭和45年9月13日、76歳で没した。(『愛媛県史 人物』より)


①佐々木長治翁記念碑

①佐々木長治翁記念碑

西宇和郡伊方町湊浦(八幡神社境内)

②佐々木長治君寿像

②佐々木長治君寿像

八幡浜市愛宕(愛宕中学校付近)