学び舎えひめ<you遊コラム>

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■ デネブ ~ 天翔ける白鳥の輝くお尻

9月も後半を迎えると、ついこの間までの暑さがウソのようにめっきりと涼しくなってきます。まだ時折秋雨前線が停滞して天気がぐずつくこともありますが、10月の声を聞く頃には、いわゆる帯状の高気圧におおわれ、安定した晴天が続くようになります。いよいよ「星見の秋」の到来です。
 日の入りの時刻がどんどん早くなるこの時期、西の空に見える夏の星座はなかなか高度が下がりません。特にやや北よりに位置する「夏の大三角」は、まだ西の空高いところに見えています。こと座のベガ(織姫星)、わし座のアルタイル(彦星)、はくちょう座のデネブの作る大きな直角三角形は、どれも明るい星ですから、初心者の方でも簡単に見つけることができるでしょう。
 デネブという名前は、アラビア語でしっぽ、あるいはお尻を意味します。その名前が示す通り、デネブははくちょう座のしっぽに当たる星です。またベガとアルタイルの真中よりも少しデネブに近いあたりに見つかるのが、同じくはくちょう座の星でアルビレオ、これがくちばしに当たります。この二つの星の間にあるのがおなかの星、その両側に見えるのがつばさの星、とたどっていくと、夜空を飛ぶ白鳥の姿が想像できるでしょう。でもお尻が一番明るいなんて変だなぁ、まるでホタルみたいだ、という声が聞こえてきそうです。
 ところで夏の大三角の星々が明るい理由は同じではありません。まずアルタイルとベガが明るいのは地球に近いためです。その距離は、それぞれ15.8光年と25.3光年。これはこの時期に目で見える星の中では一番目と三番目の近さです。一方デネブはおよそ1500光年というはるか彼方にあります。この距離ではほとんどの星は肉眼では見えないほど暗くなってしまいます。つまりデネブが明るいのは、星自体が大きく、非常に明るく輝いているためです。その明るさは私たちの太陽のおよそ6万倍!はくちょう座は、見かけだけでなく、実際にお尻の輝くホタルのような星座なのです。
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