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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇自費出版をとおした啓蒙活動と「ふるさとに学ぶ会」

 私が新宮村を単車や車で巡回中、ある時たまたま休憩した所に小さな石仏があった。わずか40cmぐらいの小さな物だった。ところがちょっと調べてみると、右側に第何十何番、左に観音寺とかいうような文字があり、どうもこれは八十八か所の札所にちなんで、各地域で存在しているミ二四国、いわゆる新四国と言われるものではないかと、気が付いた。時間を見てこつこつと調べ始め、およそ半年ほどかけて44体まで発見した。それを「これは、大事な物だから。」と呼び掛けたが、やはり、なかなか耳を傾けてもらえない。
 そこで思い付いたのが自費出版である。私が、最初に自費出版らしきものをやったのは昭和45年で、それからしばらくの間途絶えていたが、53年に「新宮村の歴史と民俗」という題名をつけて、イラストは役場の職員の上手な女の子に頼んで、120~130ページの小さな本を作った。これを、かなりの方々へ配布することができ、こういった本を読んだ仲間たちが、早速それに応えてくれた。これが実は「ふるさとに学ぶ会」という会である。
 これ以前に、新宮村には自然観察というものを目的とした、小さなグループがあった。小学校の先生の非常に熱心な方がリーダーで、定期的に山や谷へ行って、野鳥とか植物を見るとかいうグループであった。私もある程度それに興味があったので、そういったグループと交流を持ち、村内を貫いている古い街道を、一度見てみようということで歩いてみた。これが後に「ふるさとに学ぶ会」という一つの組織として発展した。普通は「ふるさとを学ぶ」と言いがちであるが、むしろ私たちは「ふるさとに学ぶ」んだということで、ついた名前である。